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証明 4(side:佐藤くん)
……じゃなくって!
斉藤先生の手でイカされ、先生に優しく背中をなでられて、危うく眠ってしまいそうになっていた僕は、ハッと気付いてパッチリと目を開けた。
「あ」
斉藤先生は僕と目が合うと、明らかにしまったという顔になる。
「先生、今、僕のこと寝かしつけようとしてませんでしたか?!」
「え、いや、その……」
僕の指摘は図星だったようで、斉藤先生は目に見えて慌てている。
「僕、先生に掘られても大丈夫だって言いましたよね?!
なんで途中でやめるんですか!」
「いやその、だって、佐藤くんあまり寝てないみたいだったから」
確かに僕は夕べほとんど寝てなくて寝不足だ。
そんな状態だったから出してしまえば眠くなるのは男の生理として仕方ないとはいえ、ついウトウトしかけた僕の方が悪いと言えば悪い。
でも、その男の生理を利用して僕を寝かしつける気満々だった斉藤先生もどうかと思う。
「眠いけど、でも大丈夫です!
最後までしてください!」
「いやでも、最後までって言うけどね、男同士だと突っ込まないで終わることも多いし……」
「突っ込まないで終わるって言いますけど、そもそも斉藤先生はイッてないんですから終わってないですよね?!」
「いや、そうなんだけど……」
斉藤先生はついさっきまで積極的だったのに、なぜかまた逃げ腰になっている。
それはたぶん単に弱気になってるだけじゃなくて、初めて抱かれることになる僕の体や精神的なところを心配してくれてもいるんだろうけど、でもその心配は見当違いだ。
はっきり言って今の僕は、掘られることに対する不安よりも、今日このまま掘られずに終わらせてしまったら斉藤先生は何だかんだと理由をつけて僕と付き合ってくれないんじゃないかという不安の方が強い。
「……先生は、本当は僕のこと好きじゃないんですか?」
「え?」
「僕のこと好きじゃないから、僕のこと抱きたくないんじゃないですか?」
「……違うっ、そうじゃなくて……!」
「じゃあ!
じゃあ何で僕のこと抱いてくれないんですか?!
僕、先生に僕が先生のことを好きだってこと信じてもらわなきゃって思って必死だったのに、こんなんじゃ先生が僕のことを好きだっていうのも本当なのか信じられなくなりそうです!」
僕の叫びに、斉藤先生ははっとした顔つきになった。
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