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証明 6★(side:佐藤くん)

「そろそろ入れてみようか」 「はい」  僕がうなずくと、斉藤先生は僕の中から指を抜いて、僕を仰向けにした。 「ほんとは後ろからする方が楽なんだけど、顔が見えた方がいいよね?」 「はい、出来れば」 「だよね。俺もその方がいい。  これ敷いておけばちょっとはマシなはずだけど、もしつらかったら我慢しないで言って」 「わかりました」  僕が腰の下に入れてもらった枕の位置を調整している間に、斉藤先生はコンドームをつけた。 「じゃあ、いくよ」 「はい」  僕がうなずくと、斉藤先生はゆっくりと僕の中に入ってきた。 「っ……!」  斉藤先生を受け入れるのはさすがに指のように簡単にはいかず、中がいっぱいになって苦しい。  けれども先生がゆっくりと慎重に入れてくれたおかげで、どうにか斉藤先生を根本まで受け入れることができた。 「やっと吉高さんとひとつになれた……」 「うん。  (りん)とひとつになれてうれしい」 「僕もです」  斉藤先生は入れたままでしばらく動かないで、僕の頭をなでたりキスしたりしていたけど、僕の中が先生のモノになじんでくると、僕の足を抱え直してゆっくり動き始めた。 「んっ……っ、はぁっ…」  苦しいけど、中をこすられると時々すごく感じるところがあって、どうしても声が出てしまう。  それは苦しい時に出す声と似たようなもので、別に色っぽくも何ともないのに、斉藤先生はそんな僕の声にさえ興奮するみたいで、今までに見たことがないような、男の色気だだ漏れの顔つきになっている。  僕のこと、好きだから、こんなに興奮してくれてるんだ。  そう意識すると、僕も体がカッと熱くなる。 「(りん)、そろそろイクぞ」 「はいっ……!」  僕がうなずくと、斉藤先生はさっきよりも大きく早く動きだした。 「あ、…よし、たかさん……あ、ぁ……あああっっ!!!」  中を思いっきりこすられ、完勃ちになっているモノまで握ってこすられて、僕は大きな声をあげてイッてしまった。  ほとんど同時に、斉藤先生も僕の中でイッたようで、中のモノが小さくなったのがわかる。 「あー、もう、最高」  思わずと言った感じでそうつぶやいてから、斉藤先生は僕にいい笑顔を向けた。 「どう?  ちゃんと俺が(りん)のこと好きだって証明できた?」 「はい……すごく」 「それは残念。  証明できてないって言われたら、もう一回しようかと思ったのに」 「えっ」 「ふふ、冗談だよ」  笑いながらそう言うと、斉藤先生は僕の中から自分のモノを抜いて、タオルを渡してくれた。 「初めてで疲れただろうし、ちょっと寝たら?  ちゃんとお互いに好きって確かめられたし、もう寝ても大丈夫だろ?」 「そうですね……それじゃあ遠慮なく……、あ」  疲れて安心して、うとうとしかけた僕は、ふとあることを思い出して声をあげる。 「ん?  まだ何かあった?」 「いえ、大したことじゃないんですけど、そう言えば、吉高さんにもう1個聞きたいことがあったなって」 「ん? 何?」 「吉高さん、夕べ僕のことを『二次元だから触れない』とかって言ってたんですけど、あれってどういう意味ですか?」  僕がそう尋ねると、斉藤先生はぐはっと変な声を出した。 「そ、それは……」 「それは、何ですか?」 「えーと、それは、その、秘密っていうか」 「えー、秘密なんですか?」 「うん、そう。  恋人同士でも1個くらいは秘密があってもいいだろ?」 「恋人同士……」  そう言われた途端、僕の頭の中は恋人という言葉でいっぱいになってしまって、秘密の内容なんかどうでもよくなってしまう。 「さあ、もう寝た方がいいよ」 「はい、おやすみなさい、吉高さん」 「おやすみ、(りん)」  そうして斉藤先生に布団をかけてもらった僕は、あっという間に眠りに落ちていった。

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