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第5話

「理事長!」 「ふぁっ」 なんとなくやらかしたなあと言う気になって目をそらさずにいたら、ばばん、と部屋のドアが勢いよく開いた。 「理事長また生徒を食おうとしてるんですか!? もういい加減にしてください! イイオトナでしょあんた!」 「おうおうおうどうどうどう」 そこにいたのは金髪のヨーロッパの人みたいなショートカットのかわいい女の子で……あっここに来て初めての女の子だわ。 手にはなんかファイルみたいなものを持っていて、制服を着ている。制服? 猪突猛進で男に突っ込んできた。 「うわ、ちょっ、ち、まっ」 「理事長! やっぱりあなたには貞操帯をつけないといけな、い…?」 えっ貞操帯? 貞操帯。貞操帯? 理事長と呼ばれた男は、俺が手を離し女の子に向き直るとへなへなと座り込んでしまった。 そこにまた突っ込もうとする女の子。 「えっウッソ、理事長がメスの顔になってる!?」 「うるせえ大臣下がってろ」 「口が汚いですよ理事長。やっぱりこれは貞操帯ですね」 ポケットをゴソゴソしだす女の子は、まじで貞操帯を出し始めた。 「女の子が貞操帯なんてやめなさああああああい!」 「は? 女の子?」 「え? 女の子? あっ?」 女の子はめっちゃ怪訝そうな顔で俺を見た。 よくよくよく見ると制服は男物だ。 は? こんなにまつげの長い子が、男だって言うのか。 なんとなくやるせなくて男の方を見る。そういや理事長って呼ばれてたよなあ。こいつ。 ん? 「理事長?」 「え? ええ理事長ですよこの人」 理事長から体を離してまっすぐ立つこの男の子(仮)。非常に誠実そうだ。 あぐらで座り込んでいる理事長に目をやると目が合いふっと逸らされた。ほっぺが赤い。なんだろう謎の罪悪感がある。 理事長は一つ咳払いをすると立ち上がり足元の埃を払った。 「そうです! 俺は理事長です! そんでこいつはこの学校の生徒」 「理事長顔が真っ赤です。あなたどうしたんですか」 「うるせえ黙れ」 「この人まだ28歳なのでめちゃくちゃ口が悪いです。」 「28歳で理事長!?」 「学校法人金剛のトップがこの若造です」 「金剛系列ではお前が1番若造だろ!」 「えっすごい、お兄さんすごい」 「えっ、そ、そんなこと、ねえよ」 照れ出すお兄さん。 唖然とする男の子(仮) 「スーパーオラオラで有名な理事長が、照れてる」 「えっ? そんな人なんです?」 「だって言うてこの人だってこの金剛の由緒正しき宝石だったんですよ」 「宝石?」 「そうだねまずは自己紹介しようか」 おとど、と呼ばれた女の子(仮)ははっとした顔をすると、すっと理事長の後ろに下がった。

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