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第7話

一通り学校の説明を受けた俺は、実際に校舎の中を案内してもらっていた。 理事長に真に迫った顔でまたLIMEするって言われた時に、迫真すぎてて面白く、思わず笑顔が溢れて「ありがとう」と言ってしまったら、くうっといいながら椅子に倒れ込んでしまった。 なんなんだろうか。俺ってそんなに照れられるの? 「はい。そうしたらここが高柳くんの教室の1年A組です」 「ありがとうございます」 一通り案内された校舎はやっぱり吐き気がするほど広くて、そして高くて、なんでも揃っていた。 本当にここに街が一個あるくらい。 「いやあでもすごいっすね。食堂と言いながらもほぼレストランだし、カフェなんてもはや喫茶って感じの上品さだし、体育館なんてほとんどジムだし、えげつないですね」 「僕はここ以外通ったことがないのでよくわからないのですが、やっぱりすごいものですか?」 「そりゃもう凄すぎですよ。だって、現金持ち歩かなくていいってやばくないですか」 「全部カード払いですからね」 「ヒェーーーッこわい」 そう、ここで噂のカード払いというやつと直面することになってしまった。 この学園では現金は使えず、全てカード払いをしなくてはいけない。 そしてそれは親の口座からスパッと下されるそうだ。 「高校生でカード払いをすることになるとは思ってなかったです」 「僕からしたら、むしろ現金なんてレアなものよく持ってますよね、という感じです」 「……」 これが真の金持ちと成金の差か、と肩が落ちてしまう。 おれぁとんでもねえとこ入っちまったかもしれない。 「そろそろいいですか? 今の時間ホームルームなので、それが終わる前に教室に入って欲しいのですが」 「あっ、はい。わかったので、その、左手の貞操帯をしまってください」 「? これは貞操帯ではなくただの筆箱です」 「えっ? あっ、ほんとだ、すみません……貞操帯のイメージが俺の頭の中にずっとあって……まあ、見たこともないんですけど……」 そう言って目をこするとみかさんはふっと困ったように笑って、ため息をひとつついた。 「そんな、僕を貞操帯キャラにしないでください。あれは理事長室に行くときにしか持ち歩かないものなので」 「いや多分1番持ち込んじゃいけないものでしょあれ」 「理事長はすぐに生徒を理事長室に連れ込む癖があるんです。そうすると部屋も汚れますししかも抱き方もまた雑なので……まあそれをよしとする子がいるのも確かですが……なのでそ 「ちょっ、ちょっちょ」 「? はい?」 「この学校女の子いるんですか?」 「……といいますと?」 「だ、だって理事長抱くんでしょ? いや、抱くってことにも勿論疑問は抱いてるんですけど、女の子なんていますここに?」 「いるわけないじゃないですか。ここは女人禁制の由緒正しい男子校ですよ」 「……じゃあ何抱いてるんですか? 枕?」 「……あー。えっと、そうか、説明がめんどくさいな」 「えっ待って待って考えが追いつかない。えっ? どういうことですか?」 「男同士でセックスしてるんです」 ーーーほ? 「この閉鎖的な学園での数少ない娯楽の1つが同性愛です。女の子が好きという生徒がいるのは当たり前ですが、そういう子でもここではそういうものだと割り切って、男同士でひたすら性交渉をするんです。その中でも理事長はこの学園在学中からのバリタチで、ただひたすら男を抱くのを好む人です。まあまたこの学園の宝石だった人ですからね」 待って? 待って待って待って? これ、たかやぎうしおって言う童貞にする話じゃなくない? 「この学園では普通ですよ。ちなみに僕はバリネコ。めっちゃ抱かれる人です」 「えっ、男って抱けるんですか」 「抱けますよ。そんなことも知らないんですか?」 ふふっと笑うみかさんはめっちゃ不敵なはずなのにめちゃくちゃ可愛くて、 「あ、エッチできるかもって思っちゃいました」 「まあこういう見た目ですからね。なんなら予定空けますけどいつにし 「いや、でも大丈夫です」 スケジュール帳を取りだそうととするみかさんの動きが止まる 「どうして?」 上目遣いで俺を見てくる。 まるでそれが本当に少女のように見える。 「体は大切にしてください。それにセックスするなら、もっと心が通い合ってからしたくないですか? 俺なんかに勝手に許しちゃダメですよ。せっかくこんなに、かわいいんだから」 みかさんの目が一回り大きくなる。

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