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第10話

Side Ryoshiro 新学期初日。 俺たちの新しい生活が始まる、といっても中等部時代とメンツはほぼ変わらないし、気持ち程度のクラス替えで、クラスの半分は昨年に引き続く顔ぶれだ。 なんてったって、この学校はひと学年2クラスしかない。 「赤澤?」 「……なんだ?」 「いや、珍しくお前がぼーっとしてたから」 「あんまり寝てないんだ。なんだか昨日はそわそわしてて」 「へえ、お前が。珍しいな」 「……らしくないとは思っている」 「まあ、今日は集会で学校終わるし、よく休めよ」 「ああ」 正直新学期だからというのは嘘で、本当はこのクラスにやってくる転校生というものに頭を悩ませていた。 完全閉鎖の中高一貫校とまで言われているこの学園で、転校生がやってくることなんでウン十年に一度の頻度であると、先生の誰かが言っていた気がする。 一応受け入れをしないとまでは言っていないが、まず中学2年とか、3年とか、中途半端な時期に転校をしてくることはできない。もし丁度よく高等部から入学できることになっても、入学金や授業料も、中等部でかかるはずだった学費も、年度始めに一括で支払わないといけず、その授業料はここにいる俺たちの親、所謂富豪にとっても安い金額ではないそうだ。 「……」 とりあえず、そんな金を出すことができるということはこの学園にとって影響を与えるような父兄だろうし、何より、その息子がなぜこの学校に転校してくるかも問題である。 そんな富豪の親だから素行でも悪いのだろうか。または、孤高のプライドでも持ち合わせているのだろうか。 家の近くの中学に行かせた結果馴染めず、この完全閉鎖の学園に放り込もうとしたのか。 実際この学園はそういうやつは結構いるし、そいつを更生させるために教師や、生徒会、そして俺も加入する学級会組織もある。 「……ぅ」 ああ、胃が痛い。 「おはようございます」 透き通るような声が学級に響くとクラスがざわざわとし始める。 「ええっ、ミカ先輩だぁ……」 「く、来るなら事前に言って欲しいよな、めっちゃ緊張するじゃん……」 「相変わらず可愛いなあ……」 「おい、先輩相手に可愛いは失礼だろ」 「大丈夫ですよ、赤澤くん」 「大臣先輩」 こちらを見てはにかむ大臣先輩がいた。 そして先輩はついでに、可愛いと言った鈴木にも笑顔を向けた。 やはりいつ見ても女の子にしか見えないし、可愛らしい。 それに後輩である俺の名前も覚えているところに、真面目さと聡明さを感じる。 まあそりゃあみんな好きだろうな、という雰囲気だ。 「それでは改めまして挨拶から、」

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