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第14話

「席順で座るから、俺と潮は離れちゃうね」 なんとか全速ダッシュを繰り出した結果、約1分前に講堂に着くことができた。 『俺、特待生だから集会に出ないと、それだけで期末の総合点から10点引かれるんだー』 と、隣を走っていた晴太が言い出したときは本当に心臓が口から飛び出すかと思った。全ては俺のせいになるところだった。 頼む先に言ってくれ(でも、その発言のおかげで今までにない快走をできたからまあ、イーブン?)。 「えっと、全校生徒これだけ……?」 「高等部はね!」 まあそりゃそうだと言われればその通りである。ひと学年ふたクラスしかないなら、全校生徒は240人だ。 240人が収まる講堂は、まあそりゃステージがあって、スクリーンがあってって当たり前な感じなんだけど、施設はもう公共施設のソレで、とにかく綺麗だし椅子がフッカフカだし、天井にはドームが付いていてステンドグラスを通して日光が優しく俺たちに届く。 話を聞くとあのドーム部分は開閉式で、スクリーンを使う時になると閉まるらしい。 晴太と別れるのを名残惜しく思いながら、一つだけ空いている席に座る。 「失礼しまーす……」 入りづらいときは、奥義の手刀を使うのだ。ふふっ、筋金入りの金持ちにはわかるまい。 そしてなんとか自分の席らしきところにたどり着く。 「なあなあ、君あれじゃん、ジュエリーの」 「はいっ。ああ、それです」 席に着いた途端、隣にいた茶髪でふわふわとした髪の毛の、制服を着崩した俺より少し小さそうな子に話しかけられた。 「驚いたーめっちゃイケメンになっとるね。あのモッサいのはどこ行ったんだ?」 「いやー、めっちゃ成長したからね。もうテレビはいいよ」 「そんなこと言うなよー。俺、その恩恵に預かっとるんだから」 彼は人懐っこい笑顔で、少し訛ったまま小声で話し出した。 なぜか、どこかで見たことがあった気がした。 「恩恵?」 「ああ、俺、千石かをる(せんごくかおる)って言います。よろしくねん。」 「あれ待って千石かをるって、俺、あったことある?」 「ああー覚えててくれとる!? そうなんよ、会ってるんよー」 「でも確か君って」 大きな音でブザーが鳴る。 するとその場にいた生徒たちが背筋をピンと伸ばし、胸元のカフスを整え出した。 千石くんの方を見ると、カフスと襟を直していて、目が合うとまた後でな、と口が動いた。 いきなり厳かな雰囲気になって、少し腰が引ける…。 『それでは、全校集会を始めます』

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