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第21話

「佐藤竜也……」 「え?」 「佐藤竜也(さとうたつや)です。3年生で、生徒会庶務を務めています。よろしくお願いいたします」 「た、高柳潮です……よろしくお願いいたします」 なんだかサムライのような人だと感じた。漆黒の瞳と髪はツヤツヤしていて、そのガタイの良さもあってか威圧感がとんでもない。 彼は左手を差し出してきて、俺はその手と握手をした。右手には貞操帯が握られている……。 「たーちゃあん……」 「お前の息子もいよいよ年貢の納め時だな」 「い、いいもん! 俺は息子なんて使わないし、ケツが使えればなんも問題ねーし!!」 「ほう、ちょうどよかった。そうしたらここに後ろ用の貞操帯が」 「殺生な!!!!」 園部さんはバタバタと暴れているけど、佐藤さんはびくともしない。恐ろしい高校3年生だ。 「すみません、うちの生徒会は騒がしくて」 「なんだか、粒揃いって感じですね……」 「学校の特色的に個性が強い生徒が多いのも事実ですが、生徒会はその中でも勉強や修学態度などが極めて優秀な生徒のみ所属ができる団体です。自然と、極度の真面目か頭のおかしな天才が所属するようになります」 「へえー」 ぱっと生徒会を見る。 きっと極度の真面目はみかさん、山下さん、佐藤さん、頭のおかしな天才は会長、園部さんなんだろうなあ……。 なんだか新しい情報が多すぎて疲れてきてしまう。 「ってか素朴な疑問なんですけど、生徒会の皆さんは俺が宝石になることになにも異論はないんですか……ぱっと見その……なんの違和感もなさそうなんですけど」 もう訳がわからなさすぎて反論する気も失せてきてしまったが、やっぱり俺が宝石になるのはおかしい。せめて周りが鬼のように反対してくれれば俺もこんなことにはならなかったのに、頭の王冠が重くて仕方がない。 みかさんの顔を見るとキョトンとした顔で俺を見つめていた。 「さっきも言いましたが、僕は高柳くんが新しい宝石になるのは大賛成です。このなんちゃって会長が長く宝石を務めるのも癪にさわりますしね」 「君本当に僕のこと嫌いだよね、いっそ清々しいくらいだ」 「お褒めに預かり光栄です会長。呆れているだけですよ。……あなたには僕も惹かれるものがあると感じています。それに君にはそんな素晴らしいものがありながら、至極真っ当な人です。やはり僕はそんな人がうちの学園の宝石であるべきだと思います。まだ短時間しか君と話せていませんが何より、変なやつですけどこの会長の人を見る目を、僕たち生徒会は一番信頼していますので」 「それにうちの学園の掟は、生徒にとって決して破れない牢獄のようなものだしね、逆らえないのも良くわかってんのよ、ね、たーちゃん」 「俺はあくまで生まれた波にたゆたうだけだ」 「僕たち生徒会は掟を監修し、それをもって生徒を監視する立場にあるんです。だからこそ決して逆らうことはしない」 「よく言った山下。ちなみに俺、理事長もその一人だ」 「掟……」 「だから僕たちは宝石である高柳くんを全力で肯定し、バックアップしていく責務があるんです。僕たちのことは味方と認識してください」 「は、はい……」 「潮、大丈夫だ。俺の持つ力全てを君に捧げよう」 きらりと笑う慶光院さん。 とんでもない幅の信頼を寄せられている。なんだかもう反論できる気配じゃなくなってきた。 「安心して宝石生活を全うしてくれ。そうだなあ。そうしたらまず潮の部屋を宝石部屋に移す問題なんだが」 「……あ、俺自分の部屋知らないんですけど」 「「「「「「あ」」」」」」

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