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第22話
SIDE Shion.
明け方、
フラフラしながら部屋に戻る。
久しぶりに強めの酒を飲んで足元がおぼつかない。別に酒に弱いわけでもないが、またこの学園で進級してしまったことは俺の本意ではないし、やるせなくて当たり前だった。
パーカーを軽く嗅げば臭い、誰が吸ってたか。そういえば隣にいた女が吸っていたか。臭い。
急いで脱いでハンガーにかけて、自室にある衣類用クリーナーの中に下げてやる。扉を閉じて、酔っ払った頭でぼーっとクリーナーを見つめる。我ながら変に真面目だ。
「へえ、お前は案外真面目なんだね」
あの言葉を思い出すだけで腹が立って、むしゃくしゃしてしょうがなくなる。
何も間違ってはいない。いないのだが、その言葉が俺を苦しめる。
キッチンに行って机の上にあるポットからコップに水を注いで飲む。レモンとミントが入って、リラックスできる爽やかさだ。
少しは落ち着く。
さらにぼーっとしていると、少しづつ朝日が昇ってきた。春の朝日だ。
そういえば、と思い、もう一つの寝室に向かう。
覗いてみれば、同室のやつがまるで倒れたまま寝たような体制をして熟睡していた。
酔っているからか、なんとなくその顔を見てみる。
ベッドの脇に立つ。
ずいぶん綺麗な顔をしてんなあ、と思った。それと同時に、なんかこわばってんな、とも。ガタイも良さそうだ。
またボーッとして見つめていると、薄目を開けたそいつと目があった。
「……桜」
「……あ?」
よくわかんないことを言ったかと思うと、徐に手を掴まれベッドに引き込まれる。
「っ、なに……」
「……」
抱き枕のように抱きつかれたかと思おうと、男はまた寝息立て始めて、寝てしまった。
今の男の顔はひどく穏やかで、どことなく嬉しそうだ。
「……ま、いっか」
なぜか安心感を覚えたが、きっと俺も酔ってるからだ。
今日はこのまま寝てやろうーー。
SIDE Shion END.
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