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保健室の一件から特に芹澤と話すこともなく、放課になってしまう。久々に朝から放課まで学校にいた俺はくたくたになって、とりあえずすぐにでも学校から出ようと足早に教室から出て行った。俺の横をジャージを着て大きなカバンを背負っている生徒が早足で横切っていって、これから部活まである奴は本当にすごいな、と心底尊敬した。
そうした、これから部活があるんだろうなっていう生徒は何人も俺のことを抜き去っていっていく。その中に――芹澤もいた。芹澤は何冊かファイルを持って、すたすたと俺の横を通り過ぎようとする。こいつはこれから生徒会か、と他の生徒に思ったように素直にすごいなあと思ってぼーっとしていれば……とん、と肩が触れ合ってしまう。ハッと顔をあげてみれば、芹澤も反射的に俺のことを見てしまったみたいで、目が合ってしまった。
「あ、……せ、芹澤、」
「……バーカ、死ね!」
「あ!? んだと、このやろう!」
――一瞬、気まずい、申し訳ないと思った自分がバカだったと思うくらいに、芹澤は俺に向かって幼稚な罵倒を投げかけてきた。正直その態度に逆に救われたという感じもあるけれど、こんなにも子供染みた罵倒をされれば俺もカチンときてしまう。
でも、俺が何か言い返してやろうとする前に、芹澤は向き直ってさっさと俺の前から去って行ってしまう。
やっぱり、横山の言っていることは理解できないと思ってしまった。芹澤に可愛いところなんてないし、言葉の一つひとつが嫌な感じがする。どんだけアイツは顔で得をしているんだよ、って思って、余計に嫌いになってしまいそうだった。
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