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 だいぶ電車での芹澤は大胆だったな、なんて電車を降りて俺は思い返す。駅まで近づいてくれば周りにほとんど人がいなくなっていたからあそこまで密着していても注目を浴びるなんてことはなかったけれど、ツンなわりには外でくっつくことに抵抗はないようだ。「おまえと一緒にいるの見られるの恥ずかしい」なんててっきり考えているのかと思っていたから、ちょっと意外だった。  俺は別に何も気にしていないからどうでもいいんだけど。芹澤と触れ合えたほくほく感に満たされながら、電車を降りてからも手を繋いでいた。ホームから駐輪場まで、手を繋いで歩いて行く。指を絡める、所謂恋人繋ぎをしてやれば、芹澤はぽっぽっと顔を赤らめていた。 「……藤堂。俺と行きたかったところって、さっきの夜景?」 「ん? いや、あの丘で芹澤と星がみたいなーって思ってて」 「星?」 「今日は流星群がみれるよ。俺の親父がなんか望遠鏡なんかも持ってきてるからさ、一緒にみにいこうぜ」 「星……」  芹澤がちらっと俺をみてくる。赤い顔は可愛くて、こうして見つめられるとドキドキする。 「星とか……ちょっと思っていたけど藤堂ってロマンチストだよね」 「あ? それからかってる?」 「ううん……そういうところ、」  芹澤は口ごもって、「そういうところ」の先をなかなか言わない。うー、と困ったように唸ってはもどかしそうに目元をゆがめて、そして俺にぴたっとくっついてくる。  そういうところ「好き」って言いたいのかな。希望的観測ではあるけれど、たぶんそうだ。好きって芹澤はなかなか言えないんだなって思うとそんなところも愛らしく思えてきて、俺はよしよしとその頭を撫でてやる。 「流星群、深夜にしかみれないからさ、それまで家にいよう」 「……うん」 「ほら、後ろ乗って」  自転車を引っ張り出しながら俺は言う。これは流星群が流れ始めるまでエッチしてようのニュアンスに聞こえているのかなあと思って芹澤の表情を伺えば、案の定恥ずかしそうにもじもじとしている。  これから自分が抱かれるって思いながらも男の家にいく心境ってどうなのかなって考えると俺はにやけそうになった。このツンツン芹澤がそんな状況にあるっていうんだから尚更だ。抱かないけどね、っていうネタばらしはあえてしない。  俺が自転車に乗ると、芹澤も後ろに乗ってくる。ぎゅっと俺の腰に抱きつく仕草は相変わらず可愛い。背中に触れた芹澤の胸がものすごくバクバクといっていて、すっごいドキドキしているなって思いながら俺はペダルを漕ぎだした。

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