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第七章 君の世界に色が付く。
「はっ」
体がすこぶる重い。そして、だるい。何事かと目を覚ませば、俺は芹澤を抱きしめて地面の上で寝ていた。
どうやら俺たちは夜明けの見ようとして丘でねばっていたものの、睡魔に敗北してしまったらしい。いつのまにかこうして寝てしまったのだ。
「芹澤……朝、きちゃったよ」
「ん……? っ、くしゅっ」
「風邪ひいちゃった? 大丈夫?」
「うん……」
芹澤を起こしてやると、芹澤は起きた瞬間にくしゃみをした。寒かったのかな、と思ってぎゅっとしてやると、芹澤が俺の胸元に頬ずりをしてくる。
ああ、こいつ、俺の恋人なんだよな。そう思うと口元が緩んでしまう。「ふふふ」なんて気持ち悪い笑い声がでそうになったから、芹澤の頭に口元をうずめた。
「夜明け、みれなかった」
「またチャレンジしようぜ」
「……うん」
残念そうな顔をする芹澤をなぐさめて、帰る支度をはじめる。今日は一日芹澤と家で二人きりだ。何をしようかな、って考えるとどきどきしてきた。
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