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 ぐ、ぐ、と結生が俺の奥に、押し込んでくる。奥の方が、じわっと熱くなって、その熱が全身に広がって、ビクンビクンと身体が跳ねて。繋がったことが、嬉しくて。すごい勢いで、結生のものに吸い付いている、それが自分でも、わかった。見上げれば、結生は歯をくいしばるような、こめかみから汗を流しながら、そんな余裕のない表情をしていて、あんまりにも色っぽくて、ドキッとしてしまう。 「……はぁ、……は、……すご、……まじ、……あぁ、やばいな、俺、ほんとに涙のなかに、挿れちゃったんだ、」 「うん、……ぁっ、……ん、……ゆき、……んんっ、」 「……ッ、涙、加減しろって、……こんなに締め付けられたら、すぐイクから、……っていうか、なんか……やばい、感動で泣きそう、」  どさり、と、結生が俺の上に倒れこむ。そして、ぎゅっと俺を、抱きしめてきた。  耳元で、結生の嗚咽が、聞こえた。結生、泣いている。結生も……俺とひとつになれたことが、嬉しいんだ。それがわかって、俺もさらに嬉しくなって、ぼろぼろと泣いてしまう。俺が泣けば、結生は俺の顔を覗き込んできて、お互いが、お互いの泣き顔を、瞳に映した。 「……悪い、……初めて、だから。かっこよくいたかったんだけど……情けないな、」 「……ううん、」 「……ごめん、涙、……めっちゃ、好き。大好き」  裸で、ひとつになって、抱きしめあって。俺たちは、泣いていた。キスもして、ほんとうにひとつになっているみたい、だった。 「……涙、奥の方、好きなんだよな」 「うん、……もっと、なか、……はいってこれる?」 「こう?」 「あ、ぁあぁ、あ……!」  恥骨を強く押し付けるようにして、結生が、思い切り奥に押し込んできた。じわっ、と強烈な快楽が広がって、そして結生が更に俺のなかに入ってきた、って嬉しくなって、俺はイってしまった。結生に、至近距離で顔を見つめられながら、イってしまった。 「は、ぁっ……あ、……」 「もっと、勢いよく、奥の方……刺激、する?」 「……して、……ゆき、……おく、強く、……」  結生の瞳が、く、と眇められる。あ、その顔、色っぽい。どきりとしたのも、束の間、ずるり、となかから結生のものが引き抜かれた。ああ、やだ、抜かないで、寂しい。そう思っていたら、腰をがしりと掴まれた。  どすん、強い衝撃が、下腹部から全身に広がる。何が起こったのか、わからない。びりびりとして、視界に星が散って、びくんっ、と下半身が跳ねて。ああ、イッたんだと理解すると同時に、結生が、俺を突き上げてきたのだと、気付く。 「あ、……あ、……」 「大丈夫……? 涙?」 「す、ごい……、あ、ぅ……」 「セックス、って、これをたくさんするんだよ。大丈夫そう?」  そうか、これが、セックスか。挿れる側が、何度も相手を突き上げる。  今の、一回で、意識が飛びそうになったけれど。結生は、まだ、イっていない。俺ばっかり、イって、結生に申し訳ない。大丈夫かな、って不安だ、でも。奥にきて欲しい、って気持ちは変わらないし、たくさん、奥を突いて欲しい。 「ゆき、……きて。奥に、……いっぱい、きて」 「……っ、」  結生が、唇を噛んで、軽く、俺に、キスをしてきた。そして、ふっと微笑むと、また、軽く腰を引く。 「あっ……!」  ぐんっ、と強い、快楽。突き上げられると、飛びそうになるけれど、俺は、結生の背中に、しがみついて、耐える。結生は、ゆっくりと、腰を動かして、俺を何度も、突いてきた。  奥を、突かれるたびに、結生に抱かれている、と実感して、胸の中がいっぱいになる。ふわふわと、何も考えられなくなって、俺を見下ろす結生にの表情に、きゅんとするばかりで、ただ、ただ、幸せで、天国にいるみたいだ、と思った。快楽が身体の中に破裂すると、身体が浮いているような、そんな感じがしたから、余計に。 「ッ、……涙、……気持ちイイ?」 「き、もち、い……っ、あっ、あっ、」 「もっと、激しく、していい?」 「してっ、……ゆき、……もっと、……」  結生は、俺の手を握って、腰の動きを早めてきた。ずん、ずん、って重い衝撃が、俺を突き上げる。俺はただ、揺さぶられて、こみあげる歓喜の声を、口から漏らすことしか、できない。喘ぎ声を出すことが、恥ずかしい、なんて、そんな羞恥心を覚える余裕なんて、なかった。 「あっ、あっ、あっ、あっ、」 「はぁっ、……涙、……涙、……」  もう、何回も何回も、イッた。結生も……きっと、そろそろ、イク。表情に、余裕がなくなってきて、ちょっと苦しそうで、動きもガツガツしてきて。ベッドのきしみも、激しい。  結生が、俺を抱いて、こんなに余裕をなくしていることが、嬉しかった。結生も、気持ちよくなれていることが、嬉しかった。 「っ、……涙、……イきそう、」 「……うん、……、うん、……!」 「涙、……!」  結生の、身体に、汗が伝っている。結生は、ぎゅっと、強く、俺の手を握ったかと思うと、ぐっと一際強く、ソレを俺のなかに押し込めて……軽く、身体を震わせた。  イッた、みたい、だ。  結生が、がくりと俺の上に伏せて、はーはーと息を吐く。俺の耳元で、そんな息遣いをされると、どきどきしてしまって、困る。 イッた後の気だるそうな結生が、かっこよくて、心臓が、痛い。 「……やば、……体の相性、すごくね?」 「……そ、そう?」 「もう涙以外とセックスできないわ。……すっごい、よかった」 「……、」  俺は、されるがままだったけれど、エッチのことを褒められて、嬉しかった。女の子とも経験があるだろう結生が、俺とのセックスをどう思うか、不安だったからだ。  恋人は、体の相性も大事、なんてよく聞く。そんなに、そんなによかったなら。ほんとうに、俺を手放さないで欲しい、なんて思ったり。でも、それは言えない。俺みたいなおかしな人間に、そんなことを言う資格なんて、ないから。 「……もっと、がんばる」 「んー? なに?」 「もっと、結生が気持ちいいって思ってくれるように……え、えっ、ち……がんばる」 「……!」  せめて、しがみつくだけでも、許して。結生が、俺を手放さなしたくないって思うくらいに、セックスを頑張りたい。そんな、穢い俺の想いは、言えないけれど。 「ありがと、涙。俺もがんばるよ」  俺は、セックスという行為に、結生との繋がりを、何よりも感じていた。優しい笑顔を向けてくれる、結生に、そんなことは言えない。何もかもが不安定な俺は、セックスに、縋り付く。  キスをされて、俺はまた、イッた。結生に触れられることが、嬉しかった。結生に、愛されたい。できるだけ長い間、愛されたい。  結生、どうか俺を、手放さないで。ごめんなさい、好きで、ごめんなさい。愛してください。

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