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 空が、青い。久々にみた、青い空に、俺は呆けてしまう。目覚ましの音で目が覚めて、気持ちよく起きることができて、窓の外を見れば、青空。朝が、こんなに清々しいなんて。 「おはよ、涙」 「……お、おはよ、結生」 「また今週も学校だな~、怠い」  のす、と結生が俺の背中に、抱きついてくる。今日から、またいつものように、学校。結生と付き合ってから初めての、学校だ。恋人ができたら、どうやって学校で一緒に過ごすのか、よくわからない俺は、ちょっと不安に思っていた。でも、特に結生は、そんなことを気にしてはいなそうだ。結生は俺と違って、今まで何人かと付き合ってきているから。俺ばっかりが、緊張してしまっている。 「普段通り、学校で接してくれればいいよ。呼び方だって藤堂でいいし」 「……う、うん」 「隠す必要も別にないけどな。でも、あれこれ聞かれたら、絶対に涙はテンパるから」 「……たしかに」  いつもどおり、ってなんだっけ。色々と悶々として、頭の中が真っ白になって、結生に汚い言葉を吐いていた、そんな以前のように、なんてはいかない。もう俺は、結生と付き合っているんだから、今までのように悶々となんてしないだろうし、汚い言葉も浮かんではこないだろう。じゃあ、今みたいに、あからさまに好きって態度をとるのかといえば、違うだろうし。  やっぱり、わからない。わからなくて、不安だ。ほんのちょっと、学校に行くのが、怖かった。

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