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「今日の午後の授業のときさ、平田の奴が……」
結生の家までの、帰り道。結生はずっと、何気ない話を、してくれていた。結生も、たくさん傷付いたはずなのに、そうやって明るく振舞ってくれることが、申し訳なくて、また、哀しくなった。
この先、どのくらい、結生を傷付けてしまうんだろう。今どんなに反省しても、俺は、急に感情が大きく揺れてしまうことがあるから、これからのことが、わからない。
「結生……」
「ん?」
「ゆき」
「……」
自分が、怖かった。これからも、結生と一緒にいていいのかと、迷った。でも、結生の、優しい笑顔は、俺に「逃げるな」と、言っていた。
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