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「あっ……あ、あ……」
「イク?」
「いく、……いくっ……」
「イッていいよ。涙。可愛い」
「いくっ……んっ……」
幸せを知れば知るほどに――堕ちる恐怖は濃くなっていって。それは、光が強くなれば、影が深くなるように。ただ、結生から与えられる快楽は、徐々に、そんな不安も、溶かしてゆく。たった一時だけれど、不安を忘れられるから、俺は、結生とのセックスが、好きだった。
「は、ぁ……あっ……」
「涙……」
「んっ……」
胸を、責められて、イッた。身体が汗ばんできて、布団の中に、熱がこもる。身体の感度はどんどんあがっていって、結生に触れられたところ全部、感じてしまった。また全身を撫でられると、ビクッ、ビクッ、と身体がビクついて、それと同時にお腹のあたりがきゅんっとする。結生はそんな俺の身体を……丁寧に、丁寧に愛撫し始めた。
「涙の身体……綺麗」
「あっ、……ん、ぅ……あっ、そこ……だめ……」
「ん、ここ、気持ちイイ?」
「あっ……ゆきっ、……あっ、んっ、……ゆき……」
ああ、もう、気持ちよくて。頭が真っ白に、なってゆく。身体を、たくさんたくさん触られて、愛してるよって言ってもらっているみたいで。俺は、泣きながら、感じていた。
下腹部にきたときに、ようやく布団が剥がされた。たくさん愛してもらって敏感になった身体が晒されて、恥ずかしくなったけれど。結生に見つめられると、さらにきゅんきゅんとしてきてしまって、もっとエッチなことをして欲しいって思ってしまう。
「すご……涙、とろとろ……」
「ふ、ぁ……」
「ローションなしでも、いけそう」
たくさん、たくさん、感じてしまったから。俺のそこは、びしょぬれになっていた。勃ったものが、自らの出した液体で、てらてらとぬめっている。恥ずかしかった。けれど、結生が優しい笑顔を向けてきたから、安心した。
結生は、そのぬるぬるとした液体を手にとって、俺のいりぐちに塗りつける。ほんとうに、たくさん、出てしまったみたいだ。それだけでも、十分に俺のあそこを、濡らすことができた。
「あぁ……う、ぅう……ふ、……」
ぬぷ、と結生の指が、なかに入ってくる。その一瞬で、俺のなかは収縮して、腰が、浮き上がった。ふわふわと、「気持ちいい」が膨れ上がって、また、すぐに、イッてしまいそう。
「ん、キス?」
「うん……きす、……」
気持ちよさと共に、切なさが襲ってきて、結生に縋り付きたくなる。無意識に結生のキスを求めて、そうすれば結生は深いキスをしてくれて、俺は幸せに包まれた。
ぎゅっと俺の吐息も熱をも奪うようなキス。これが、欲しい。もっともっと、結生と密着したい。舌が翻弄される、呼吸のリズムすらも操られる、そんな激しいキスが、たまらなく、良い。同時になかをぐちゅぐちゅと掻き回されると、どうにでもして、という気分になってくる。
「挿れるよ、涙」
「うん……うん、……」
いっぱいほぐされて、俺のそこは、ぐずぐずになっていた。奥のほうが、ひくひくして、寂しい。結生はさっとゴムをつけると、堅くなったものを、俺のそこに押し当ててきた。俺は、結生が挿れてくれるまで、じっと、待つ。結生は俺を気遣ってくれているのか、すごくゆっくりと、挿れてきた。はやく奥に欲しくて、もどかしいけれど、じっくりと熱が這い上がってくる感じも、結構気持ちいい。
「あっ……うっ……」
「涙……」
「んっ……ゆき、……もう一回、……キス」
「ん、」
奥まで、はいってきた。結生は、俺が、奥が好きって知ってるからか、ぐぐっと強く、最奥に押し込んできた。俺の身体を腕で雁字搦めにするように、ぎゅううっと抱きしめて、ぐりぐりと奥を刺激してくる。あんまりにも気持ちよくて、意識が飛びそうになる。でも、結生を感じていたくて、もっと感じていたくて、結生に、しがみつく。重ねた唇、噛み付くように深く、キスをして。深く深く、繋がって、俺の心が、満たされてゆく。
「んっ、んっ、んっ、」
結生が、俺を突いてくる。一応は音をあまりたてないように、静かに動いているみたい。でも、そうやって音をたてない動きっていうのは、妙にねちっこいというか、いやらしさが増すというか。じっとりと熱をふつふつと生み出すような、そんな動きだ。
「んんっ、ん、ん……」
結生。結生……。もっと、もっともっと突いて。愛して。
感じて、感じて、もう、断続的に何度もイッて。それでも俺は、結生にしがみついていた。結生にイかされることに、幸せを感じたから。おかしくなってしまうまで、たくさん、イかせて欲しい。
「はっ、……」
「あっ、ゆき、っ……あっ、あぁ……」
結生の顔が、少しだけ苦しそう。唇を離して、少しずつ、抜き差しの速度が早められていった。結生も、イキそうなんだ。吐息を交わしながら、お互いに、絶頂へ向かう。
「はっ、……涙、涙……」
「ゆき……ゆき、……!」
一番の、絶頂が訪れる。結生が俺のなかでイクと同時に、俺は深すぎる絶頂に堕ちていった。急落するような感覚、同時に天国へ飛ぶような感覚。重力が消えてしまったような、そんな強烈な快楽。
「ゆきっ……」
無意識に、手を伸ばす。ここまでの快楽を感じると、なぜか、結生に触れていないとだめになりそうになる。伸ばした手を掴まれて、そして再びぎゅっと抱きしめられて……そうすると、凄まじい幸福感に胸が満たされた。
「んっ……」
唇を奪われる。ああ、幸せだ。
結生は、優しい。優しくて、こんなに、愛してくれる。怯える俺を、包み込んでくれる。
いつまで、結生に辛い想いをさせるのだろう。それが怖いのに、俺は、結生から離れられない。自分勝手。
「結生……ごめんね……」
いつか、幸せになれたら、なんて、それは贅沢な願いなんだ。
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