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 ゆうが、ベッドサイドから、ローションを取り出す。ボトルのなかのローションが、半分以上使われていたのが、少し気になった。けれど、まあ、どうでもいい。ゆうは、ローションを俺のあそこに垂らして、秘部に、塗りこんでいく。 「あぁー……」  ぬりゅぬりゅとそこにローションを塗りこんで。それから手のひらであそこ全体を揉み込んできて。俺がガクガクと震えながら感じていれば、ゆうがふふっと笑う。  頭のなかが真っ白になってきて……しあわせな気分になっていると、つぷ、とゆうの指がなかにはいりこんできた。なかがゾクゾクッ、と反応して、ゆうの指を締め付ける。 「やわらかい。涙のなか、やわらかくて可愛い」 「んっ、んっ、」  異物がはいってきた、気持ち悪さ。それと同時に、怖いくらいの快楽。ゆうが少しずつ指を増やしていって、三本の指を俺のお尻の穴に出し入れするようになると、ちゅぷちゅぷといやらしい音が部屋のなかに響いた。 「あ……ん、……」  なかをいじられると、なぜだか、たまらなく切なくなる。自分の身体が、「この人のものになる」って、悲しくなるのかもしれない。それが、好きな人なら嬉しいけれど……そうではない人だから、虚しくなる。俺はもう、藤堂に触られることはなくて、これからずっとゆうに触られるんだ……そう考えると、胸がきゅっと痛くなる。  でも……今更、拒絶なんて、する気はない。すべてを、ゆうに投げ渡すつもりなんだから。俺は……これから、ゆうに抱かれるんだから。  ゆうを受け入れようと、俺は、恐る恐るゆうの背中に腕を伸ばす。ぎゅっと、抱きつこうと……がんばった。 「……ッ、」 ――そのとき。ゆうの身体が、こわばった。俺の指先が――シャツがめくれて露出していたゆうの腰に、触れた時だ。指先に、何かを、感じた。ゆうの腰は、なめらかではなくて……何か、傷跡のようなものが、あったのだ。それに触れた瞬間、ゆうは、ぎょっとしたように、息を呑んだ。 「ゆ、ゆう……?」 「……あ、いや。ちょっとびっくりしちゃった」 「……ご、ごめん……」 「ううん。ほら、続き、しよ」 「……あっ、……」 ――一瞬。その瞳が、強烈に、凍りついた。見てしまった、俺の心臓が、縮こまるほどに。ゆうは、憎悪とか……もっと言えば、殺意とか。そのくらいの、強烈な嫌悪の色を、その瞳に浮かべたのだ。  ゆうは、そんな感情を、俺から隠すように、俺に覆いかぶさってきた。顔を、俺の肩口にうずめて、俺から表情がみえないようにしてしまう。 「んっ、」  ……なんだろう。あの傷は……なんだったんだろう。考えようとすれば、ゆうが俺のなかを、激しく掻き回してきて、何も、考えられなくなる。なかを、たくさん、たくさん、弄られて、おかしくなりそうに、なる。 「はは、柔らかくなったね」 「ん……」 「どうしようかな、挿れられそうかな」  ぬりゅん、と、ゆうの指が俺のなかから、出て行く。ゆうは、満足げに笑うと、ズボンのベルトを外し初めた。……上は、脱がないんだ、そう思いながら俺はその様子を、眺めていた。あの腰の傷……結構、大きかったけれど、なんだったんだろう。 「……あ、」  ゆうが、ベルトを途中まで外したところで、チャイムの音が聞こえてきた。来客が、あったようだ。  ゆうは、腕時計を確認して、にたりと笑うと、またベルトをしめる。 「お客さんきちゃった。ちょっとまっててね、涙」 「……うん、」 「……そうだ」 「え、……?」  ゆうが、自分のネクタイを、外す。そして……俺の手首を、まとめあげた。べつに……逃げたり、しないのに。なんでこんなこと、されちゃったんだろう。 「いい子にしているんだよ、涙」  ゆうが、微笑んで、部屋を、出て行った。なんだか……ぞわっと、した。

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