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どうして? どうして? どうして私が死んだの?
ねえ、どうして?
どうして私がこんな目にあったの? 私が何をしたの? ねえ、?
あなたのお兄さんでしょ? どうしてあんな人間を野放しにしていたの? あれは、危ない存在なのに。
ねえ?
「――っ……!」
俺を責める、葉の夢。これを、もう何度見たのだろう。
クリスマス・イブ。葉が俺の目の前で自殺した日から、俺は悪夢を見続けていた。寝ても覚めても、地獄しか見えない。何度も何度もフラッシュバックする、葉が人間の形からぐしゃぐしゃな肉塊へ変化していくあの一瞬。アスファルトにたたきつけられて体が破壊された、あの一瞬。俺の頭の中は、あの光景が支配していた。
「裕志……大丈夫? 裕志……!」
何度も、何度も吐いた。一瞬でも思い出せば鮮明に、あの生々しい映像がよみがえる。
永遠にこの地獄から、俺は抜けだせないのだろうか。俺はずっと、葉の死の瞬間に囚われ続けるのだろうか。あんなに愛していた葉のことを、今は恐ろしく感じている。記憶の中の葉の笑顔すら――ぐちゃぐちゃに潰れた顔に、すり替えられてしまっている。
何が、俺達を変えてしまったのか。俺達は、幸せな未来へ向かっていたというのに。
あのとき、俺の部屋に葉を呼んでいなければ。あのとき、兄さんが隣の部屋にいなければ。あのとき、兄さんがいなければ。兄さんが、いなければ。兄さんがこの世にいなければ。
「――あ、……あぁ、……」
心の中が、どす黒い霧で満たされてゆく。掻き毟られるような胸の痛みに、俺はただ、喘ぐことしかできない。
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