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 涙がまた俺と再び一緒にいようと思えるようになるまでに、どれくらいかかるだろう。それは、今はわからない。ただ少なくとも、大学に通っている期間の4年は確実にかかるわけで、その年月は恋人同士である俺たちにとっては長く感じるだろう。100年近い命を持っている人間にとって4年なんて取るに足らない長さかもしれないが、まだ若い俺たちにとって、4年離れて暮らすというのはきっと想像を絶するほどに寂しいことだ。 「あっ、……あ、……は、ぁっ……」 「涙、……涙……」 「ゆき、……もっと、……あ、あぁあっ……!」  離れて暮らすようになった時に、その寂しさに沈んでしまわないように、俺達は、その未来の時間を埋め合わせるようにセックスをした。熱をいつまでも忘れないように、相手の体に刻みつけるように――激しい、セックスをした。 「おくっ……もっと、奥……もっと――……」 「だってっ、……涙のなか、……キツ、……」 「うう、……欲し、……ほしい、……おくにきて、……結生、……おねがい、……」  いつもに増して、涙は積極的だった。激しく俺を求めてきた。  脚を俺の腰に絡め、そして、手で俺の臀部を掴む。そのまま、ぐっ、ぐっ、と自分の腰を俺に押し当ててきて、とにかく俺のものを自分の奥へといざなってきた。自分で自分の奥へと俺のものを押し込んでいるのに、俺のものが奥へ入る度に涙はぶるぶると震えて絞りだすような声をあげ、ナカをぎゅんぎゅんと締め付けてきて――ものすごく、感じているらしい。俺も、両手で涙のお尻の肉を鷲掴みしてぐいぐいとナカに俺のものをねじこんでやっているから、もう、限界まで俺たちはひとつになっていると思う。  涙は、「奥」がとにかく好きだ。どこを触っても気持ちよさそうにしてくれるけれど、特に「奥」をねだってくる。涙、曰く。とにかく俺のことが好きで、自分のなかに俺がはいってくることにたまらない快楽と感動を覚えるからー―だそうで。女の子と違って孕めないから、そのかわり熱をたくさんお腹のなかにいれてほしい、だそうで。いつ聞いたのかはっきりとは覚えていないけれど、イッてとろとろになった涙がぼーっとしながら言った言葉だと思う。いやらしいを通り越して逆に純粋な涙の俺とのセックスに対する考え方には、俺もずいぶんと影響を受けてしまっている。 「ゆき……」 「……きもちイイ?」 「……うん、……きもちいい……」  涙の最奥に俺のものが押し込まれている状態のまま、キスをした。静かな、キスだ。お互いの唇の形を確かめ合うような、柔らかいキス。体も殆ど、動かさない。けれど、涙のなかはひっきりなしにヒクヒクと疼いていて、俺のものに絡みついてくる。  ガツガツと突きまくるセックスとは違って、ちょっと、もどかしい。けれど、こうしてゆっくりと溶け合っていくようなセックスが、俺はすごく好きになっていた。お互いの肌の暖かさ、なめらかさ、汗ばんで湿っている感じ、そういうものを感じ合って、そしてじっくりと結合部から快楽に侵食されていく感じ。吐息とか布擦れの音とかが生々しくて興奮する。涙の全てを慈しむような、こうした穏やかなセックスは、していると幸せな気分になってくる。 「かわいい。涙。大好き」 「俺も、……結生、大好き」 「へへ、もっと言って」 「すき。大好き、すごく好き。……ね、結生」  満たされる。涙とのセックスは、満たされる。俺は胸がいっぱいになるのを感じながら、涙と言葉を交わしていた。繋がって、気持ちいいときにこういった言葉を伝え合うと、言葉にできないくらいの幸福感を得られるから、俺は好きだ。  涙は、俺の名前を呼んだかと思うとふふ、と花のように微笑んだ。目はとろとろ、結合部はぐちゅぐちゅ、今の状況に相応しくないくらいの、百合のように純粋な笑顔だ。 「ありがとう。俺のこと、幸せにしてくれて、ありがとう」 「……なにそれ。俺のほうが、幸せにしてもらってるよ」 「ふふ、そっか。じゃあ……神様にも、感謝しないと」 「神様?」 「結生に出逢えてよかった。この世に生まれてきて、よかった」  見つめ合い、濡れた瞳に浮かぶ光を呑み込んで。抑えきれないほどの幸せに、俺達は耽っていく。    一度、どうしようもないところまで落ちてしまった涙、彼から、一番聞きたかった言葉かもしれない。思わず俺は泣いてしまって、涙に笑われた。  それから、俺達はゆっくりとセックスをしていた。食事をとるのも忘れて、夜までずっと。夜の静けさが優しさに変わるような、そんな時間を過ごしていた。

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