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やがて鬼となる母と魄と名付けられた息子との徒然なる日々――【夏の月】

「……っ……あの疫病神め――尹よ、其奴を……野放しにすると……いずれ後悔するぞ?」 「……そんな事、今のあなた様には関係ありません。それよりも、早く此処から――立ち去ってくださいませ……あの子は……木偶の童子は私が何とか致しますから……」 私は地面に両膝をつき――その身を抱えるようにして地面へと蹲る木偶の童子の元へとゆっくりとした足取りで近づいていく。そして、そのままおもむろに身を屈めると小刻みに体を震わせながら涙を溢している彼の頭を優しく撫でる。 「……木偶の童子――よくお聞きなさい。あなたは――疫病神などではありません。あなたも……私の家族といっても過言ではない。だから、悲観的になるのはお止めなさい。私はあなたの太陽のような笑顔が――大好きなのです」 「ゆ、尹様……尹様……っ……有難き幸せでございます」 「できゅのどうじ……いたい、いたいのとんでけ……とんでけーっ……」 木偶の童子が僅かに元気を取り戻すと、私は心の底から安堵し家族である魄と彼を順々に抱き締める。夕暮れに染まり、僅かに桃色がかった雲が出ている空からは烏の鳴き声が聞こえていた。 その後、私達は今度こそ皆で西瓜を食べようとしたが――残念ながら狂善という乱入者が現れて場が混乱したせいで粉々に砕け散り、とてもじゃないが食べられる状態ではなくなってしまっていた。 【今年はもう西瓜は手に入りませんが、私達家族はずっと一緒なのですから来年、いいえ……その次の年でもいい――とにかく、私達家族三人で一緒に食べましょう】 と、私は魄と木偶の童子とゆびきりげんまんをして約束擂るのだった。

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