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王と王妃と白い鬼の息子との徒然なる日々――【春の月】

【燗喩と魄と尹儒の話】 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ 月日が流れるのは早いもので、現王である我と王妃である魄との間に産まれた愛しい子――尹儒が近々、二歳になる誕生日を迎えようとしている。 本来であれば、王子である誕生日となれば国をあげて盛大な祭りを行うだけであるが――我は何とか王宮内にいる守子達(特に昔から王宮に仕えている老人ら)を説得し、その盛大な祭りとは別に家族水入らずで過ごすために特別な休暇を取り付ける事に成功したのだ。 それにしても、昔ながらの頑固な考えを持つ老人らを説得するのは誠に苦労した。前王である屍王は王妃であり我の妻でもある魄の父上なのだが、とても威厳があったため――この世を去られてからも老人らの守子達は尊敬している者が多く、我のように【所詮は張りぼての新王】を好まない節があるのだ。 しかし、それでも何とか頭の硬い老人らを説得できたのは愛する魄のお陰だ――と知った時には頭の後ろを石で殴られたかのような衝撃を受けたものだ。 王妃である魄が我の為に土下座してまでも頭の硬い老人らに何度も頼み込んでくれたからだ、と知り得る事ができたのは――かつて我と敵対していた世純という守子が教えてくれたからだった。 ――とん、とん…… 「こんな所で何をなさっているのですか――燗喩様?」 「――魄、それに……尹儒か。そち達こそ、此処で何をしているのだ?」 悶々と考えていると、不意に背後から優しく肩を叩かれ、びくっと体を震わせてしまった我だったが――その人物が愛しい我が子の尹儒を抱えている魄だったため、ほっと胸を撫で下ろしながら尋ねるのだった。 ※作者です。 昼間に書いていた【世純と黒子の過去話】は諸事情により削除致しました。申し訳ありません。

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