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王と王妃と白い鬼の息子との徒然なる日々――【夏の月】

「か、燗喩様――このような場所で何をなさっておいでなのですか?今は公務で書類に追われていらっしゃると聞きましたのに……」 「ちちうえ、ちちうえーっ……ゆんじゅを……ぎゅーっとしてくださいましぇ……ゆんじゅは、ちちうえにあいとうございました……ちちうえ!!」 あの家族水入らずで過ごした春の日から比べると――尹儒も大きくなったものだ。今さらながら思い出したが、尹儒は今――四歳になっている。 どおりで、あまりに唐突な事でその場に立ち尽くす我の体に力強く抱き付いてくる筈だ――。 相変わらず口調は舌足らずなままだが、若干覚束ない足取りながらも、自分の足で地面に立ち、そして勢いよく此方へと駆け寄ってきたのだ。尹儒が自分の足で歩き始めた事すら知らなかった――いや、知ろうともしなかった我はそれだけでも驚いた。 しかし、それ以上に驚いたのは尹儒が布すら身に着けずに素っ裸で此方へと駆け寄ってきた事だった。 一瞬、ぎょっと目を丸くしながら素っ裸の我が子を見つめてしまっていたものの、今一度辺りを見渡してみる。 すると、魄は白い拭布を持っていて素っ裸で我の方へ寄ってきてから嬉しそうに周りを駆け回る尹儒を慌てて捕まえようとしている事と、地面には水が満杯に張られている大きめの盥が置かれている事から――尹儒がある事をしている最中だったと悟った。 「ああ、なるほど……魄よ、そちは尹儒の行水を行っていたのだな――邪魔したようで申し訳なかったな」 「そ、そんな……そんな事で謝らないで下さいませ――燗喩様。それに、尹儒もこのように父である貴方様に会えて喜んでいるではありませんか……そうだ、ちょうど良かった……宜しければ、あそこで冷やしている西瓜を皆で一緒に召し上がりませんか?」 ふっ――と魄が示した場所へ目線を移すと、そこには水が張られている別の盥が置かれており、大きな西瓜が何個か冷やされているのだった。

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