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王と王妃と白い鬼の息子との徒然なる日々――【夏の月】
来年も、その来年の夏も、そのまた来年も――また、こうして家族三人でこの沼に蛍を見にきたい――。
例え、尹儒が成長しても王としての公務に追われていたとしても――、
私は――その身も心さえも捨てて愛おしい妻である魄と――その子である尹儒を守り抜く。
多少の良心を捨て去り――、
たとえ、その手を罪でぬらしたとしても――、
―――かまわない。
王宮の傀儡である私にとって――魄と尹儒の存在だけが癒しであり、私の存在意義であり――生きていくための――糧なのだから。
(そのためならば、私は____ )
「ち、ちうえ……どうしたのでしゅか……こわいおかおをして……っ……」
「いや…………なんでもないのだ……愛おしい子よ」
(鬼になってやる____ )
※ ※ ※
さあ、これからまた王宮の傀儡と化す日々が始まる。偽物の笑顔を張り付け――私は鬼となる。
(完)
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