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第17話

 クルーザーの旅も、最終にさしかかる。志摩を出て一気に逆戻りする。昼には残った魚やアラを鍋料理にした。海の幸を充分に満喫し、大自然の恵みに感謝しながら、四十フィートのクルーザーは水しぶきを上げて進む。  夕方、熱海に着いた。はしごを上り、小さなキャビンから海を眺めた。夕日が沈む。海から何度も見た光景だが、いつ見ても心にジンと染みる。 「きれいな夕日ですね」 「ああ」 「次にいっしょに海の夕日を見られるのは、与論島になりますか?」 「そうだな…。今度も行く先々で釣りをしながら南下するか」  話している間に、太陽は水平線に吸いこまれていく。 「クルーザーを与論まで操縦するのは大変でしょう。飛行機で行きませんか」 「いや、二、三日あれば行けるだろう。向こうで一泊すれば、一週間ほどの休みで行ける」  戴智にとっては、船の操縦は日常生活からかけ離れることのできる手段だ。いつもと違う自分でいられる、貴重な時間。 「そういえば戴智さん、百合が浜で年の数だけ砂を数えると幸せになれるって、言われてますね」  戴智は吹き出した。 「俺はそういう迷信は信じないし、第一女じゃないから、そんなロマンティックも求めない」 「そうでしたね」  潮風が頬を撫でる。パーカーが、まるでヨットの帆のようになびく。 「僕も信じません。砂を数えなくても、戴智さんとなら幸せになれるって確信がありますから」  普通なら照れて言えないようなことを、東は平然として言う。戴智が言えない分まで、東は言葉にしてくれる。 「俺といっしょで、幸せだと思うか?」  子供は望めない。番になったところで、子孫が残せない。姉の一奈が将来結婚すれば、その子供を跡取りにはできるが。  そうなれば、王永にとって戴智はどんな存在になるだろう。 「はい。もしも王永を継ぐ権利を失ったとしても、僕は戴智さんを選んだことを後悔しませんから。僕のうなじは、誰にも噛ませずに死守します」  戴智は照れ隠しに、サングラスをかけた。  風をはらんで膨らむパーカーがあおられる音に、戴智のつぶやきがかき消される。 (すげー口説き文句だな…)  その夜シャワーがすんだ後、東はバスローブを脱いでベッドに横たわった。もうすでに勃起している。発情期の状態で、太腿には愛液が伝い流れている。 「戴智さん…」  ベッドに腰かけた戴智が、横たわっている東に覆いかぶさってキスをした。東は戴智の首にしがみつき、より深く口づける。  戴智がベッドに押し倒された。東が戴智にまたがり、キスをしながらバスローブを脱がせる。  戴智のペニスは、まだ勃起していない。そこを優しく手のひらで包み、東はキスを続ける。  東から発する濃密な匂い、官能的なキス、エロティックな手の動き。戴智の下半身がうずく。最初は小さなさざ波が、大きなうねりとなって下腹部を襲う。  戴智はこの五日間、日を追うごとに体のうずきを強く感じるようになった。挿入してみたい、東を突き上げたい。そんな欲望が強くなっていった。 「うっ…、くっ…」  東がフェラチオをする。舌で竿を舐め上げて、亀頭をすっぽりと口に含み、軽く甘噛みをする。東の手と口の中で、自分自身が大きく育っているのがわかる。 「はあっ…!」  東のディープ・スロートに、戴智の体がのけぞる。何度めかの吸引の後、東の口からジュポッと音を立てて戴智のペニスが抜け出した。完全に勃起し、亀頭が自分の顔の方を向いている。手で触れずに鈴口を真正面から見下ろすのは、何年ぶりだろうか。久しぶりに見る勃起したペニスは、自分でも恥ずかしくなる。大きくなったペニスには、ディープ・スロートは無理だ。根元に手を添え、途中までをくわえ、力強くバキューム・フェラをする。  東も戴智のペニスを愛撫しながら、自慰をしていた。清楚な顔立ちに涼しげな笑みを浮かべているいつもの東ではなく、戴智のペニスに興奮して自分を慰めている姿に、戴智の背中が震える。 「…いやらしい格好…だな」  東は戴智の方を向いた。戴智を見上げる目は、とろけそうだ。戴智は奉仕させる。東は自慰をしながら、戴智にむしゃぶりつく。それが上下関係のようで――アルファとオメガの関係性を示しているようで、ますます戴智は言葉で東を攻めてしまう。 「ほら、一人でしているときのように、してみろ」  東は戴智の腹の上でまたがると、右手で自分のペニスを握り、左の中指を後ろからアヌスに突っこんだ。  ペニスを擦り、指を抜き差しする。何度か繰り返すうちに、指はふやけてきた。太腿を、愛液が伝う。 「あっ…戴智さん…僕を…おか…して」  妄想の中のセックスに興奮し、今入っているのがあたかも戴智のペニスであるかのように、東は自慰に耽った。 「東はそんなことを考えながらしてるのか? ん?」 「はい…戴智さんとの…セックスを想像…し…」  息も絶え絶えに、戴智の質問に答える。 「ほう…。どんなふうに、俺は東を犯す?」 「ぼ、僕を…、四つん這い…に…して、後ろ…から…めちゃくちゃに…、あぁっ」  その様子を思い描いたのか、アヌスからはまるで泉のように愛液があふれ出る。

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