34 / 51

第34話

「アッハハハハ」 「わ、笑わないって言ったじゃないですか」  ヤキモチを妬いた上に、恥ずかしがってうろたえる。また、東のそんな可愛さを見ることができた。愛しさがこみ上げてきて、戴智は東を抱きしめる。 「馬鹿だな、璃子さんに気遣ってあげないと、姉さんが怒るんだよ。女性の扱いが悪いって」  女性に優しくするのは、仁英の教えでもある。  “人の上に立つ者とて、女性やお年寄りなど特に弱い立場の者に対しては、常に紳士的に振る舞わなければならない”  そのため戴智は双子の姉にさえ、幼いころから口論になっても、暴言を吐いたり暴力が出ることはない。 「それは理解しているのですが…。披露宴でも璃子さんに寄り添って、優しくエスコートされてましたから」  披露宴で戴智が璃子に寄り添う姿は、誰がどう見ても夫婦だと信じて疑わないほどだった。一方、活発で社交的な一奈は、東がエスコートする前に自分から進んで親族たちに挨拶し、あちこち飛び回っていた。 「それは仕方がないだろう。ボロが出ないよう、俺と璃子さんが夫婦に見えるようにしておかないと。それに、璃子さんがああいう場に慣れるまでは、フォローも必要だからな」  これから表面上は戴智の妻として、親族の集まりや会社関係のパーティーがある。戴智が会社を継ぐころには、ますますそういう席も増える。璃子には自然に振る舞えるようになってもらわないといけない。  東の手が、戴智の背中に回る。 「ごめんなさい…戴智さん。あなたはただ、優しいだけなのに…変にヤキモチを妬いたりして」 「いいんだ。愛されてる証拠だ」  二人の唇が吸い寄せられた。  熱いシャワーの水滴が、狭いブースの中で二人を打ちつける。天井は両手を伸ばせず、幅も両手を広げられない。そんな空間に、戴智と東は二人で入り、戴智が後ろから東を抱きしめ、つながっている。 「はっ…、はあっ…戴智さん…」  湯気が充満して、呼吸をするのも苦しい。 「くっ…! あ、東…、中…すごく…気持ちい…」 「ああっ、戴智さん、もっと…もっと突いて…!」  東にねだられては、酸欠になろうとも腰を振らない訳にはいかない。力いっぱい東を抱きしめ、戴智は声を張り上げながら、強く腰を振った。 「ふぁっ…、東…イ…イキそうだ…、くっ!」 「あんっ、まだだめ…」 「もう我慢できな…、ぐぅっ」  戴智は東の中に全てを吐き出した。ペニスを引き抜き、指で穴を押し広げてやると、注がれた精液が一筋二筋流れ出た。  東の中を丁寧にかき出してやるとシャワーを止め、自分の方に向かせた。狭いブースでは、体の向きを変えるのもままならない。  戴智はしゃがむと、東の勃ち上がったペニスを口に含んだ。体がかなり密着した状態になるため、奥深く飲みこむことになる。  両手で東の尻を揉みながら、戴智はフェラチオする。 「はっ…あ…、もう…出そ…」  いきなり戴智が口からペニスを抜いた。下から意地悪な目つきで東を見上げた。 「じゃあ、もう少し楽しませてもらおうか」  それっきりフェラチオもせず、触りもせず、ずっと東の顔を見上げる。 「あ…やだ…戴智さん」  東が自分で慰めようと手を伸ばすと、戴智につかまれた。 「だめだ。手も触れない状態でイッてみろ」 「そんな…」  ドクン、と東の体に熱い血が走る感覚があり、ペニスが大きく揺れた。透明なしずくが床に落ちる。 「ほら、見られるだけで興奮するだろ」 「は…恥ずかしいです…」 「後ろを触ってやるから」  東の足の間から手を潜らせ、戴智はアヌスの周辺をいじり始めた。 「あっ、あっ…! もっと…かき回して…」 「お前のそんないやらしい体が好きだ。望みどおり、かき回してやる」  指を二本にし、大きくスクリューしながら抜き差しをする。 「ああーっ! すごくいいっ!」  先ほど戴智が吐き出した精液が少し残っていて、東の体液といっしょに混じって卑猥な音を立てる。 「さあ、これでイッてみろ」  時々グイッと指を曲げる。東は息も絶え絶えで、立っているのもつらい。このシャワーブースが狭いおかげで、東は壁に手をついて必死に耐えた。  うつむくと戴智と目が合った。屹立したペニスの下で、意地悪く微笑む戴智。 「あ…あ…出るぅ!」  東が勢いよく射精した。ほとんどが戴智の顔にかかる。 「あっ…! ご、ごめんなさい、戴智さん」  慌ててシャワーのコックをひねってお湯を出す東に、戴智は“気にするな”と微笑む。  シャワーで再び汗を流し、戴智と東はキスで新年を祝った。 「あけましておめでとう、東」 「あけましておめでとうございます、戴智さん」

ともだちにシェアしよう!