「んっ……………あ……………あっ……………」 　少し掠れる、甘い声が部屋に響く。快楽に震え、シーツを強く握る志希。敏感なところに触れる度に身をよじらす。 　ここは学校から一番近いラブホだ。待ちきれなかったのだ。雪兎は深いキスを落としながら、耳に指を滑らす。耳の裏からゆっくり首筋へ。首筋から鎖骨、鎖骨から肩へ。焦らすようになぞる。 「こうゆうの、初めて？」 　耳元で囁くと、志希の腰がピクッと跳ねた。さっきから志希は恥ずかしいのか、ずっと顔を隠している。 　ニヤリと笑った雪兎は、熱い吐息を左手耳に吹きかけた。 「っ！？」 「ふふっ。耳、弱いんだね」 　雪兎は志希が反論する間もなく口を塞いだ。歯茎の裏を軽くなぞり、甘噛みをして、そのすきにするりと服の中に手を滑り込ませる。 　最初は触れるか触れないかの距離で。徐々に上へ移動して、上半身で敏感なところをかすめる。 「んんっ！」 　背中がのけぞる志希。汗ばむ体に、浮きでる筋肉の筋。魅力的な身体に雪兎は舌を這わせていた。 「ちょ、何してっ……………！」 　驚いてガバッと起き上がる志希。でも柔らかな舌がツゥーっと割れた腹筋をなぞる。気持ち良さに抗うことはできない。 　雪兎はそんな志希の様子を上目遣いで観察していた。そして躊躇うように、ゆっくりズボンに手をかける。その時、いつの間にか雪兎の視界が反転していた。 「えっ……………」 　顎を持ち上げられ、半ば強引にキスをされる。志希は息を求める雪兎の開いた口に舌を滑り込ませた。さっきまで雪兎がしていたことを彼なりに再現しようとする。 　不器用だけど優しく舌を絡め、義心地なく服に手をかける。焦るな、焦るな、焦るな。志希は必死に自分に言いかけた。丁寧に肌に触り、撫でるように愛着をしていく。もう片方の手は雪兎の指に絡ませた。 　そんな時、突然雪兎が叫ぶ。 「ちょ、待って！」 「……………どうかしたか？」 「もしかして、攻め、やりたい？」 「ん？もちろん」 「……………まじか……………」 　一瞬驚いた雪兎は、ヘナヘナと顔を手の中に埋めた。志希は攻めたい。雪兎も攻めたい。 「……………よし、今日は抜き合いまでにしよう」 「……？おう」 　若干気まずさが残る。それでも志希は雪兎のズボンを脱がしていった。雪兎も同様に彼のを脱がす。 　お互い、すでにもう苦しいほどだった。トロッと先走る蜜。相手のに触れると、気持ちよかったのか同時に声が漏れた。 「んっ……………」 「あっ……………！」 　壊れ物を扱うように、膨れ上がったモノを握った。他人の指と、自分の指がこんなにも違うなんて。先っぽを押したり、裏をなぞったり。いつもよりも蜜が流れ、指に絡まり糸を引く。 　もっと快楽がほしいのか、雪兎は自分のモノを志希のにくっつけた。そして一緒に弄っていく。 「んんっ、それ、すごいっ……………！」 　志希は余裕がないのか、苦しそうに雪兎の手を握る。カクカクと少し腰が揺れていた。 　そんな彼に追い打ちをかけるように雪兎はキスをする。深く深く、息をする暇も与えない。そして手の動きを一気に速めた。 「んんっ！？うっ……………ん、んんー！！」 「くっ……………ん、はぁっ、ああ！！」 　白い欲がほぼ同時に飛び出す。気持ち良さに力が抜けたのか、志希はぐったりと雪兎にもたれかかった。それを受け止めきれきれなかった彼は、そのまま後ろに倒れ込む。 「はー……………気持ち、よかった」 　荒く呼吸する音に混じって聞こえた声。どちらの声だったなんて、覚えていない。目をつむればどっと疲れが押し寄せてくる。 　抱き合ったまま、二人はいつの間にか眠りについていた。