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第4話 またあとで。
携帯の着信音で目が覚めた。すっかり冷えてしまったベット。そこに志希の姿はなかった。脱ぎ散らかしたはずの制服は机の上に綺麗に揃えてあり、隣にホテル代のお金が置いてあった。
……………なんだよ。雪兎は珍しく寂しいと思った。でも、心のどこかで諦めはついていた。ワンナイトのようなものだった。自分が誘って、運良く相手も乗ってくれて。そして朝までいてくれるなんて贅沢だ。
「……………」
軽くシャワーを浴びる。まだ志希の肌の温もりを覚えている。すらりと伸びた長い手足。鍛えられた身体。指先まで、優しさに溢れていた。今日また学校で会えるだろうか。
備え付けのタオルで髪を拭きながら畳んである制服に手を伸ばす。
「……………!」
ふわりとかおる柔軟剤の匂い。コインランドリーで洗濯してくれたのだろうか。雨のジトジトする匂いもしない。しっかり乾いている。乾燥機もかけてくれたのだろうか。
なんだ、でかい図体して意外と可愛いところあるじゃん。くすっと笑いながら制服を羽織る。するとパラっと何かが落ちた。
一枚のメモだ。
朝練があるので先に学校に行きます。
またあとで。
志希
あいつは相手の心を読む天才なのだろうか。いや、何の意味もなく書いたのかもしれない。自分が自惚れているのかもしれない。
雪兎はお金を払ってホテルを飛び出した。いつもより足取りが軽い。きっとそれは楽しみができたからだ。
「……………あれ、暁!?」
学校について教室の扉を開けると、雪兎の顔をみた誰かが叫んだ。同じクラスの文月空だ。彼と雪兎以外まだ誰もいていない。
「いつも遅刻ギリギリにくるのに……………何かあった?」
「……………別に、なにもないよ」
「あったんだ」
「……………僕ってそんなにわかりやすいかな」
さっそく見破られてしまいま、ため息をつく雪兎。それに対して空はさも当たり前のように言った。
「だっていつも寝てる雪兎が早起きして、こんなにもたくさん喋ってるから」
僕はそんなにも浮かれていただろうか。雪兎は緩んだ顔を引っ張る。確かにいつものポーカーフェイスが崩れていた。
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