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第10話 知らない。
「はぁー、あ……………」
志希の腕の中で荒く呼吸を繰り返す雪兎。弱々しいしい彼に、今度こそ志希は自分のモノを当てがった。
「へ?ま、僕イったばっか………んあぁ!?」
脱力した雪兎に抵抗する力なんてない。ゆっくりと中に太い志希が侵入してきた。凹凸が、敏感な部分を攻めたてる。
今まで感じたことのないような痺れが体中を走った。欲を出したはずのそれも強制的に元気を取り戻す。ガクガクと震え、手足に力が全く入らなかった。襲いくる快楽に志希にしがみつくしかない。
「あっ、あん、は、はっ!」
突かれる度に、自分のものとは思えないほど淫らな声が出てしまう。真っ白になっていく思考、霞む視界。
「や、あっ、んん、んぁっ、あぁ、んんぁ!!」
「くっ……………は、んんっ!」
二回目の絶頂。気絶するかと思うほどの衝撃だった。まだ手足が痙攣して快楽が続いている。
こんなの、知らない。初めてこんなにも気持ちよかった。志希が抜くと、ドロっと志希の欲が溢れてくる。ゴム……………つける余裕なかったな。後で洗わないと。ようやく動き出した思考で考えていた雪兎の耳に、何かが聞こえてくる。
「っ……………ぁ……………」
「ぁぁ……………っ……………結弦……………」
「空……………そんなに締めない……………でっ」
「だって……………ふっ……………ん」
お隣の、結弦と空の声だった。まだ絶賛お楽しみ中のようだ。志希の表情を伺うと、目を泳がせて明らかに動揺している。
にしてもあの空が受けとは。一体どんな表情をしているのだろか。
……………ん?
お隣の喘ぎ声が聞こえている。つまり、こちらのも聞こえている……………。なんてことだ!あんなにも淫らな声を響かせていたのに。
確かにこのホテルは安いことで学生に人気のホテルだ。でも流石に壁の薄さは直してほしい。明日どんな顔して会えばいいことか。
「……………志希、帰ろ」
いつまでもここで友人の喘ぎ声を聞いてはいられない。二人は逃げるようにホテルを後にした。
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