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第12話 幼馴染。

 翌朝、感じたことのない違和感で雪兎は目を覚ました。寝返りが、うてない。不思議に思い起き上がってみると。 「いっ……………!?」  腰に痛みが走った。昨日志希が激しくするから。今日の体育は地獄だな。親には適当に寝ぼけてぶった、と言い訳をする。  家を出て学校に向かっていると。 「よー雨男くん。腰は大丈夫かい?」  誰かが後ろから手を回してきた。その口調と声でわかる。幼馴染の海岬風磨だ。 「……………」 「おいおい、無視はやめよーぜ?」 「風磨が一人で喋ってるじゃん」 「ひでー!俺の心配をなかったことにしやがった!……………ってことは、腰痛いんだ?」  こいつは鋭い。どんな隠し事もバレる。雪兎は長くため息をついた。そしてからかうことも忘れない。 「歩くのめんどくさいならおぶってってやろうか?」 「いい」 「そういや、なんで俺が昨日のこと知ってるか聞かないんだな」 「……………どうせ理雲でしょ」 「お、ご名答!」  理雲、風早理雲というのはこいつの彼氏、いや彼女?だ。いつどこにいるかわからない神出鬼没の男。きっとホテルに入るとこか出るところを見られたのだろう。  入るところだったらかなり恥ずかしい。ふと風磨の声が低くなる。 「雪兎、もうあいつのことはいいのか?」 「……………よくないよ」 「じゃあなんで志希と!」 「……………なんでだろうね。声をかけてくれたから?」  そう、はっきりとした理由なんてない。優しい言葉と熱に濁して見ないふりをしているだけ。雪兎と志希はいつ終わりが来るかわからない関係なのだ。  セフレとも違う。体が目的ではないから。じゃあ、なんのために体を重ねあう?そんなの知らなくてもいい。今が満たされるのなら。 「……………お前らの関係って歪んでるな」  「それ風磨には言われたくないから」  そう言い返すと、風磨はちょっと顔を曇らせて笑った。理由は聞かない。お互いに深くは干渉しない。  後がややこしくなるだけだから。

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