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第14話 からかい。
「おーす、雪兎」
痛む腰を抑えながら教室に入ると、同じく腰を抑える空がいた。お互いに苦笑いをする。
「やっぱ雪兎もか」
「そうなるよね」
気まずい。会話は途切れ、話題は見当たらない。昨日の空の喘ぎ声、そして雪兎の焦りっぷりが浮かんでしまうのだ。
そこへ原因の二人がやって来る。
「でねー、空ってば恥ずかしがってさー」
「空ってあんな感じなんだ」
「君たちのケンカップルも面白かったよ」
「「……………え、何の話ししてんの?」」
空と雪兎の声が重なる。その表情は何とも言えない、複雑な表情だった。そんな彼らを置いて結弦と志希はケロッと答える。
「「昨日の話」」
「いた、痛いよ空!」
「こんっのクソ結!」
真っ赤になって結弦を蹴る空。雪兎は呆れて頭を抱える。結弦は空のことを自慢したくて、志希はその話しが人前でしてはいけないということ自体よくわかっていないようだ。
志希は責めれない。責めたところでどうしようもない。ふらりと志希に近づいて、がっと肩を掴んだ雪兎。
「……………志希、覚悟しとけよ」
「え」
「今度は僕が君を抱くから」
ぽかんとした志希だったが、数秒後に意味がわかったのだろう。ブワッと赤くなって口をパクパクさせている。
そんな彼の後ろから、にゅっとあの憎たらしい顔が覗く。
「よう、朝からイチャつくね?」
「……………風磨」
「え、そんなに嫌そうな顔しないでよ」
と言いながらもケラっと笑う風磨。そんな彼の後ろからひょこっと一回り小さな頭が覗いた。
「あれ?可愛い理雲ちゃんじゃーん!」
空がまだ怒っているなか、両手を広げながら理雲に近づく結弦。理雲は怪訝そうな表情をして風磨の後ろに隠れた。
「えっ何?俺嫌われてる?」
「そうですね」
「酷いよ雪兎!せめて否定してよね!?」
ギャーギャーと騒ぐ結弦。その後ろから煩いと、空のキックが再び飛んだ。全く、ケンカップルとはどちらのことなのか。
そんなやり取りを見ていた風磨と理雲。何を思ったのか、風磨が理雲を抱き寄せ軽くおでこにキスをした。
「……………フウ」
「理雲、今日夜覚悟しとけよ?」
四人が目を白黒させる間にも二人は見せつけるようにスキンシップを交わした。ガン見をする四人に気づいたのだろう。風磨は理雲をぐっと抱き寄せて、お得意のニヤッと笑う腹黒い笑顔で言った。
「イチャつくってのは、こうやるんだよ。わかったか?恥ずかしがり屋の初心者さんたち」
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