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第15話 嘘。

 宣言通り、風磨と理雲はホテルを訪れていた。二人のセックスは心理戦だ。シャワーを浴びたあと、まずは最初にジュースで乾杯をする。 「ふう、やっぱりお酒じゃないと気分上がらないな」 「……………しょうがないよ、未成年なんだから」  例えお酒じゃなかったとしても、乾杯はルーティングみたいなもの。欲求を高めるのは十分だった。  理雲は風磨にもたれかかった。それを合図に理性と策略の攻防戦が始まる。まずは風磨からだ。じっとりとゆっくり、味わうように深い口づけを。 「ん……………ふ……………」 「んっ……………はは、ジュースの味がする」 「それじゃ…………ん、フウが飲ませて」  理雲がおねだりをする。理雲は知ってる。風磨は必ずおねだりを聞いてくれることを。予想通り、風磨はジュースを口に含んだ。そして理雲の口に流し込む。  甘い味、溢れて顎を伝う。それを風磨が舐め取った。いつの間にこんな仕草が出来るようになったのか。多分、理雲の裏をかこうとしてるから。 「ふふっ…………フウ、エロいね」 「っ………誰かさんに言われたくはないな」 「んっ、ぁ……………ン……………」  覆いかぶさるように口を塞がれる。後ろに倒れそうになった理雲の体を大きな手が支えた。唇を離せば細い銀の糸が、ツーっと二人の間を繋ぐ。  風磨は少し考えた後で、ひょいと理雲を持ち上げた。志希のように脇に抱えて担ぎ上げるのではなく、きちんとしたお姫様だっこ。咄嗟に理雲は風磨の首に手を回す。 「……………どうしたの?」 「いや、ちょっと我慢できなくなってきた」  余裕のない、という表情をした風磨はいつも以上に色気のある顔をしていた。ベットに理雲を下ろすと、もう一度深いキスをする。  理雲は感じているフリをしながら、冷静に風磨の行動、表情、瞬き、脈、汗を観察していた。そして演技だと確信する。崩れて火照った表情をしても、目が冷めていたら意味がない。 「あはっ!フウ頑張るね」 「……………バレてたか」 「僕がフウを見抜けないワケないでしょ」  小さく笑った理雲、少し悔しそうに笑う風磨。そんな風磨の視界がグラっと揺らいだ。目眩と気持ち悪さが襲ってくる。 「……………なんだ、これ」  フラフラとベットに倒れ込む風磨。気づけば眠りについていた。そんな横たわる彼を上から見下ろす理雲は、静かに微笑んだ。 「……………おやすみ、フウ。今度は僕の番だよ?」

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