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蒼くて淡い 2

何度も身体を重ねたはずのベッド……そのはずなのに今日は何かが違う。 沈むスプリングの感覚や、ひんやりとしたシーツの肌触り。 何もかもいつもと変わらないはずなのに。 「緊張してんの?」 俺を見下ろし、そう真顔で聞いてくるこいつの顔を直視できない。 「いや、よくわかない。なんだろなこれ、おまえのこと直視出来ないんだよ」 「ケイちゃんさ、それ無自覚?だったら相当タチ悪いぜ?」 素直に言っただけなのになんなんだよ。 「前に天然て俺が言ったの覚えてない?」 「え……あ、覚えてるけど」 「あの時も思ったけど、ケイちゃんてホント天然だと思う」 「天然天然て、違うって言ってるだろ。それにさ、年上からかうのもいい加減にしろよな」 ため息と一緒に吐き出した言葉。 それに一瞬、瀬戸内の視線が重なる。 「……なんだよ」 「ケイちゃんてさ……余裕なくなると饒舌になるんだな」 重なった視線の先から、少し嬉しそうな顔でそんな事を言われた。 「知らないよ、そんなこと。つーか、何ニヤニヤしてんだよ」 「また一つケイちゃんのこと知れて嬉しいなって」 「なんだそれ」 「もっと、色々教えて?俺が────」 そして会話の途中で今度は真顔で…… いや、違う。 切なそうな顔……で、 続きを口にすることなく覆い被さってきて、そのまま俺を抱きしめながら小さくため息をついてきた。 「……瀬戸内?」 「ケイちゃん……好きだよ」 「急に……どうした」 好きだと告げられ額を俺の肩に乗せると、そこに触れるだけのキスが落とされる。 「……あのさ」 「なんだよ」 「…………」 「瀬戸内?」 「やっぱ何でもない」 耳元で話されてるから表情は見えない。 だけど、時々言葉に詰まるような様子から今こいつがどんな顔をしているかなんとなく想像できた。 「……わかったよ、何でもないなら……続き」 無駄にこういう時に察してしまうのは大人だからだろうか。 瀬戸内が何かを言いかけたことや、今考えていること。 何となくわかってしまったから、さり気なく流し……そして背中に回した腕に力を込めた。 今は何も考えるのはよそう。 俺たちはお互いに察して、そのまま言葉を交わさないままひたすらキスを繰り返す。 深く、 深く、 お互いを確かめるように…… ──────── ──────

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