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第20話

あれ? 何か足元ふわふわ。耳もよく聞こえないや。あはは、もしかして今現在進行形で夢でも見てるのかなぁ。 親衛隊長さんがマイクで何か話した後、書記さまも多分片言ながら喋っているのであろう姿をぼーっとした頭で、他人事みたいに眺める。 次の瞬間。 ワッ!! という爆発的な大音量に鼓膜が破れそうになった。なな、何事!? 壇上から見えるのは笑顔で拍手喝采する全校生徒の姿。 「書記さま、今度こそわんわんと幸せになってください」 「わんわん頑張ってー」 「補佐になってご主人さまのお役に立つんだぞ、わんわん」 「本当に良かったなーわんわん」 「諦めないって凄いことなんだな、映画めちゃくちゃ感動したわ」 「僕なんか、さっきの映画見て泣いちゃったし」 「俺も実家の飼い犬に会いたくなった」 「うちのペット、猫だけど元気かなぁ」 そんな様々な声が聞こえる。 えーっと、何がどうした。 しかも数時間前に見た書記さま親衛隊たちの大団円(ただし俺抜き)と、デジャビュ? 自分で言うのも何ですが、非常に間抜けな顔になっているであろう俺。 繋いだ手をギュッと握られ見上げれば、嬉しそうに笑う書記さま。 「皆、わんわんのこと……補佐になるの、認めてくれた!」 「え」 「お二人とも良かったですね。これで制裁はありません。安心してくださいね」 えええーー!? .

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