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第21話 キャンキャンキャン。

 *** という嘘みたいな出来事があった日から、既に一週間が過ぎようとしています。 あのあと。 感極まった書記さまに抱き上げられ、皆が見ている前で顔中キスされたのは……無かったことにして欲しい。くううっ。 皆も皆だよ、何で逆に盛り上がっちゃうかな。生徒会長さまや会計さまは勝手に 「書記とノラの再会祝いに、アンコール上映会だ!」 「わんわん君と書記は仲良くチュッチュッしてていいよー。何か犬同士がじゃれあってるみたいで微笑ましいし?」 とか決めつけないでください。 再会じゃなくて、あの日初めて会ったんだからね、俺と書記さま。 チュウは……一応、隊長さんが止めてくれました。本当にありがとう隊長さん! で結局、映画に感動した理事長や先生たちの賛同もありアンコール上映は行われた。しかもリクエスト多数により後日、DVDとブルーレイ版となって学園中に出回っているらしい。何で? だけどさ、あんなの見ただけで皆が俺を制裁せず補佐にまで認めてくれるなんて、やっぱ不思議だよね。 まさかうちの学校にはアホと単純な人しかいないのだろうか。そう思っていたら、アニメ好きな平凡仲間の友人が一言。 「あの映画、サブリミナル入ってたよ。そのせいじゃないのか?」 彼いわく。 好きなクリエイターが参加している事に気付き、いつも持ち歩いていたカメラで映画を撮影。後で確認したところ、場面の合間に俺と犬の映像が挿入されまくっていたそうな。 え、まさかの洗脳? てか違法じゃないの、それ。 あと、DVDとブルーレイには多分入ってないっぽいけどよく分からん……らしい。 「でもそうか、皆洗脳されたせいで俺のこと『わんわん』扱いしてるんだな? それも生徒会が顕著にひどいけど」 「いや、お前は元々かなり犬っぽかったし。クラスの奴はむしろ納得してたぞ」 「マジか!」 「マジで」 真顔で即答された。ひ、ひどいっ。 しゅーん、と落ち込んだら 「あ、まさに今みたいな感じ。叱られた後、悲しげに鳴きながら拗ねる犬だよお前。しっぽ垂れてんぞ」 「垂れるか、てか最初から無いよ尻尾!」 .

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