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第38話

「でも、お菓子は二回、だけ」 「何を偉そうに言ってるんですか。一回だろうが二回だろうが変わらないっつーか、同じ手口に引っ掛かる時点でどうなんだよ、アンタ本気で部下(警護班)なめてんですかこのやろう」 無駄に表情をキリッとさせ二本指をこちらに向けた書記さま。 それを見て、こめかみに青筋を浮かばせる隊長さん。 この人たまに口悪いよね。 ……お疲れ様です。 「まあ、子供の頃の馬鹿犬は今と違って背も小さかったし大人しいっつーか鈍臭すぎて、誘拐する側もメチャクチャ簡単だったんじゃねえか?」 「そういえばそうですね」 「うん。昔のワンコ書記だったら今の俺でも楽〜に身代金手に入っちゃうわ」 「幼い頃の先輩は本当に可愛かったですもんね」 「え、皆さま子供の頃からのお知り合いなんですか?」 「家のランクが近いと、パーティーなんかで顔を合わす機会も多くなるんだよ。だからって別に親しくはなかったがな」 つまらなそうに答える会長さま。 この場合のパーティーって、きっと普通の子供向けお誕生日会とかじゃないんだろうな。 コホンと咳ばらいをする隊長さん。 「幼少時の書記さまは確かにお身体も弱く病気がちでした。同い年の方に比べて反応がどんくさ……多少おっとりさんだったのも否めません」 「俺……昔かい、ちょに意地悪、された」 「あ? お前がトロすぎて見るだけで苛々したんだよ。今更睨むんじゃねーよ馬鹿犬が、図体ばっかでかくなりやがって」 がるるる、と今にも唸り声をあげそうな書記さまに睨まれ、不満顔の会長さま。 「まあまあ、落ち着いてください二人とも」 副会長さまが席を立ってなだめるのに対し、 「いいぞワンコ書記~仕返しに会長を倒しちゃえ!」 なんて無責任に煽る会計さま。 しかもソファーに後ろ向きで乗り上げてます。お金持ちなのにお行儀悪いね。靴でテーブルのお菓子を蹴られやしないかちょっと心配です。 えっと。 最近よくこんな場面を見るようになって思うんだけど、気心の知れた友達同士って感じで皆様ホント楽しそうだよね。 じゃれあいながら喧嘩するみたいな? あんまし普段学園の皆が抱いてる生徒会のイメージ(美形セレブ集団)とは結び付かないんだけども。 .

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