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第39話

何つーかこうやって傍から眺めると皆、俺らと同じ普通(?)の男子高校生なんだなーって。 びっくりするというか、微笑ましく思えたりするわけですよ。うん。 俺も最近ほとんど遊べてない平凡仲間たちと、くだらない会話で盛り上がりたいなー。 「あれ?」 そんな賑やかなじゃれあいに加わらず、少し遠い眼差しを向けるだけの庶務さま。 どことなく寂しそう? 「庶務さまは参戦しないんですか」 「うん……僕の家は先輩方よりずっと格下なので、子供の頃はどなたにもお会いしたことが無いんです。当然お話し出来る共通の思い出もありませんし」 「え、でもさっき書記さまの昔のこととか」 「あれは資料を見たんです」 「資料?」 「彼の家は代々書記さまの家に仕えているんですよ。つまり庶務さまは、僕と同じく『部下』になるための教育を受けていましたから、その際に将来自分の主人になる方の資料として幼い書記さまのお写真を見たのでしょう」 隣に座る隊長さんが説明してくれて、庶務さまがそれに頷く。 いや、え? ちょっと待って何か混乱してきた。 書記さまが主(あるじ)で、その部下……従者が隊長さんと庶務さま。 でもって隊長さんはソバヅカエ。 ということは 「つまり織田信長と明智光秀、的な」 「惜しいです。それだと謀反起こしちゃいますよ? あえて例えるなら信長と森蘭丸の方が近いでしょうね」 「多少の不満はありますが」と付け足す隊長さん。 「先輩が信長さまなら僕は喜んで蘭丸になります!」と瞳を輝かせ頬を染める庶務さま。 あ〜…何か書記さまへの尊敬度というか盲信、いや盲愛度みたいなのが丸分かりっスね。 この人ほんとに書記さまが大好きだよなぁ。理由は「部下」だから、で済むのかこれ。 そんでこの後、 学園内にはお二人以外にも複数の部下が存在し、陰ひなたになって書記さまをお護りしている。機会があればそのうちの数人をぜひ俺にも紹介したい。 ……みたいなことを隊長さんが話してくれたけど。 非常に嫌な予感がするので心の底から断りたい、とか言ったらダメなんだろうか。 ところで、同じ「部下」でも隊長さんと庶務さまには上下関係ってのがあって、本来はソバヅカエである隊長さんの方が偉いそうだ。 .

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