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第40話

しかし学園内での役職や立場上から、お互いの敬称を「隊長さん」「庶務さま」と呼び合うことに決めたらしい。 面倒臭いね。 「ワンコ書記のお家は本当に徹底してるよねー。わんわん、びっくりしたぁ?」 「えっ……あ、はい」 ソファーに後ろ向きで乗り上げこちらに背を向けていた筈の会計さまが、いつの間にやら普通に座っている。 副会長さまと会長、書記さまはまだ向こうで騒いでるけど。 「ちなみに会長と副会長のとこも、親衛隊の隊長さんはお家つながりの人がやってるんだよー」 「そうなんですか?」 「うんうん、そぉなの。あ、でも俺んとこは違うけどね。普通に俺のことが大好きで大好きでたまらないって人が急に来て『超カッコイイ素敵な会計さまの為なら何でもします、ぜひ親衛隊を作らせてください』とか真っ赤な顔でお願いされたからぁ、考えるの面倒だし何か別にいいか~ってその子に隊の事ぜぇんぶ任せてみましたー…って感じ?」 いや、小首を傾げられても可愛くはないです。 まぁ貴方すんごい美形だけどね! 平凡代表な俺が嫉妬するのも馬鹿らしく思うくらいにね! しかし、親衛隊の方は良いのかそれで。 「お前はいい加減過ぎなんだよ。つか話盛ってるだろ、超カッコイイ素敵な会計って……お前の親衛隊が出来たのは生徒会入りする前じゃねーか!」 「うっさいですー。会長は黙っててくださいー。俺は、わんわんが分かりやすいように説明しただけだし」 「嘘を織り交ぜてどうするんですか、説明の意味が無いでしょう。そもそも今わんわん君に必要なのは書記に関する内容ですよね。会計である貴方の話なんかどうでもいいです」 「ひどっ、副会長それ酷いよ!? なんかって何、わんわんに俺のことも色々知って欲しいだけなのにー!」 「わんわん君すみません、会計さまの無駄話が原因で脱線しちゃいましたね。では、あらためて本題に戻りましょうか」 「隊長さんまで酷いよ!」 ニッコリ笑う隊長さんの追撃。 しくしく泣き真似をする会計さま。 こちらへ戻って来た副会長さまは「まったく面倒な人ばかりで困りますね」と愚痴りながらソファーに腰を下ろす。 会長さまは相変わらず自分の仕事机で踏ん反り返ってるし。 ちょっとムスッとした顔なのは暇だからかな。 .

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