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第62話 隊長の誤算/うかつでした。

※SIDE:書記さま親衛隊・隊長 書記さまへのご褒美に、わんわん君を。 そう考えた僕が間違っていました。  *** 生徒会役員補佐つまり書記さまの補佐となった、わんわん君。 彼には就任特典として、寮での個室使用が認められています。 といっても通常、補佐の場合同じフロアに住む生徒会役員さま全員の同意が必要で、めったに許可が下りることは無いのですが。 この話を書記さまを除く皆さまにしたところ大変スムーズにご協力頂けて、わんわん君の部屋移動を申請することが出来ました。 もちろん同意するであろう書記さまには内容を告げず、書類へのサインのみ最初に頂いてあります。そうしないと恐らく興奮から暴走してしまい、手に負えなくなると判断。 なお、書記さまとわんわん君の件についてはお二人のご両親(ご家族)間でも既に話し合いが持たれ、特にセキュリティ面の問題などから、学園内での色々を一任されております。 そんな訳で、わんわん君の引っ越し作業(荷物の移動)については本日、既に手配済みです。 昼過ぎには任務完了の報告がありましたし、もういつでも快適に住める状態になっていることでしょう。 多少わんわん君を驚かせてしまうかもしれませんが、ご両親と同室者の友人くんにも事前に了承を得ていますし。 「あいつ、きっと喜びますよ」 ご友人の彼もそう言ってくださいましたから、まあ大丈夫ですよね? さて、お二人に内緒で今日の引っ越し計画を進めてきた訳ですが。 放課後の生徒会室。 書記さま親衛隊の雑務をこなし、そろそろ時間だと迎えに来てみれば――。 その大事な日に限って何故か会長さまが、大量の仕事を書記さまに渡していました。 愚図る書記さまと、彼の仕事が終わるまでは先に寮へ帰ることも出来ず、退屈そうなわんわん君。 ちなみに何故わんわん君が帰れないのか。 理由は、書記さまが仕事を放棄して必ず後を追いかけてしまうからです。 何度叱っても繰り返すので、わんわん君には書記さまの退室時間まで生徒会室に居てもらえるようお願いしました。 本当に、はた迷惑な主ですみません。 やがて副会長さまと会計さまの仕事が終わり、多分会長さまもそうなのでしょう。暇そうに指でペン回しを繰り返しています。 .

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