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第71話

えっ何これ、ここは幸せな夢の国ですか。 うわあ、うわあぁぁ! と言葉にならない喜びに興奮する俺を見て会長さまが満足気に胸を張り、副会長さまは「ふふ、喜んでもらえて良かったです」と嬉しそうに微笑む。会計さまも「これだけじゃないよー」と照れたように笑い、庶務さまは普通にニコニコ。 なんとこの部屋にある物は(備品を除き)全部俺の補佐就任と引っ越し祝いを兼ねた、生徒会役員及び隊長さんと親衛隊の皆からのプレゼントだそうです。 ほ、本当に良いの? 後で「嘘だから全部返せ」とか言われたら俺泣きますよ。え、嘘じゃないから安心して良い? おおおお、やっぱ物凄く良い人たちだ! 「ですが非常に残念なことに、書記さまからは何一つ用意されていません。まったくもって薄情な主(あるじ)ですよね」 そう告げるのは、何故かめちゃくちゃ良い笑顔の隊長さん。 えっ、別に構いませんが。いくら現金な俺でもそこまで厚かましくないよ。もう十分です、てか貰い過ぎ。 だが言葉にする前にここぞとばかりに 「えー、ワンコ書記ひどい。わんわん可哀想~」 「そりゃねぇわ、さすがバカ犬だな」 「飼い主失格ですね」 「で、でも先輩は今日のことを御存知なかったわけだし」 「むー! ふむうー!」 一人を除いて好き勝手言う皆さま。 と、いつの間に居たのか、縄でぐるぐる巻きにされガムテープで口を塞がれた書記さまが涙目で何かを訴えてます。 それを見た隊長さんがベリッとガムテープを剥がし 「わんわん、ごめん。今度いっぱい、わんわんの好きなもの用意する。今日は、とりあえず俺をぷ、プレゼン、ト? むぐーッ!」 再び書記さまの口を塞ぎました。 ついでに足払いされ、床の上に転がる書記さま。 会長さまと会計さまからは軽く足蹴にされたり小馬鹿にされたり。副会長さまがねちねち文句を言い、庶務さまだけはフォローを入れてたけど。 ……書記さま、お願いだから。 困ったように泣きそうな顔で、ほんのり頬を染めながらそういうことを言うのは止めてくださいっ。 いや、別にね、言葉通りに受け取っちゃうからとかじゃなくて。書記さまを贈られても俺困るし。 .

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