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第87話

しかも頭と足の位置は俺と真逆な状態でだ。 つまり、その顔の上に座るような体勢で起き上がったわけだから当然……。 庶務さまが俺を自身の側へと引き寄せ、直後ぷくりと浮かんできた会計さま。鼻を押さえる手の隙間からは赤い液体が流れ出ていた。 は、鼻血っ。もしかして俺のせいで骨折!? ぐりぐにふにっ、と人に言えない部分を真下から前後左右に刺激されてついおかしな声を上げちゃったけど、あれは鼻の痛みと息が出来ない苦しさから、会計さまが俺に「早く退いて!」と訴えていたのかも。 あああ、ごめんなさい。わざと悪戯(いたずら)されたのかと一瞬疑ってました。 そうだよ、会計さまは被害者だったのに。それももしかすると俺を助けようとして運悪くあんな……。 いくら事故とはいえ俺だったら耐えられない。変態でもなきゃ絶対無理。 ど、どうか一生のトラウマにだけはなりませんように。 だがしかし、何故か再び沈められる会計さま。 って、本当にあんたこそ何やってんスか会長さま!? 数秒後にお湯の中から引き上げられた会計さまは……ねえ、あれって気絶してませんか。 「ちょっ、会計さま!?」 「じゃあ僕たちは向こうで背中の洗いっこでもしましょうか。行きますよ、わんわん君」 「え、あの庶務さま、待っ」 「大丈夫ですよ、わんわん君。そこの鼻血会計はほんの少しはしゃぎすぎて、のぼせただけですから」 いやいやいや、どう見ても溺れた末の気絶ですよね。副会長さままで一体どうしたの、隊長さんばりに笑顔が怖いぃっ。 「わん、わん、のぉ」という明らかに俺が犯人である旨のダイイングメッセージを残し、鼻血を垂れ流したまま何故か幸せそうな微笑みを浮かべる会計さま。(※気絶中) その股間にはタオルが掛けられているのだが。……妙にこんもりしてるのが気になります。 「見てはいけません、目が腐ります」と副会長さまに目隠しされて。 なるほど、会長さまに水没させられて興奮しちゃったのか。会計さまはそっち系の人だったんだねーとか思ってないから、うん大丈夫。 「お前たち、さっきからやけに騒がしいな。会計が倒れているようだが何かあったのか。大浴場での流血事故、痴情のもつれによる仲間割れ、からの全裸殺傷事件。どれだ?」 .

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