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第8話

(似ている……っ……私が――かつて……会いたくて心の底では仲良く接したくて堪らなかった__今は亡き前王の――父上に……似ている……っ……) ――切れ長で鋭く自分を見つめてくる目。 ――精悍で鼻筋がすらりと通っている整った顔立ち。 ――年下でありながら自分を難なく支えてくれる逞しい体つき。 見た目という点では、今は遠い場所へと母と共に旅立ってしまった父の【桜獅】とそっくりなのだ。それを、しみじみと自覚してしまった魄は思わずーーまじ、まじと珀王の顔を見つめ続けてしまった。 「―――何だ?俺の顔に……何かついているか?」 「い、いえ……そんなことはありませんっ……あ、あの……これ……っ……すみませんでした……」 と、何故かーーどく、どくとうるさい程に鼓動し続けているせいで何処となく気まずさを感じつつも慌てて身をかがめて床へと落ちてしまった狐面を拾うと、それを訝しげな表情を浮かべたままの珀王へと遠慮がちに渡す。 「ああ――こっちこそ……悪かったな」 「……っ…………!!」 そう言いながら、狐面を持つ自分の手をぎゅうっと少し強めに握りしめてきた珀王の動作と、かつて自分と親しくしてくれていた王花に瓜二つの笑顔を目の当たりにしてしまった魄は再び心を乱されてしまった。 王花は―――前王である桜獅と魄の母である尹が王宮の桜の木の下で自害してからというもの――王宮から離れた場所で療養中だ。だから、ここにはいないはずなのに――正に今、魄は珀王に対して王花の面影を重ねてしまったのだった。 ぽろ、ぽろ………… 今は亡き父だけでなく――自分のせいで心を壊してしまった王花の面影を珀王に感じてしまった魄は遂に耐えきれず、周りに見知った顔が何個かあるにも関わらずに涙を溢れさせてしまうのだった。

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