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第39話

★不快と感じる表現あるかも。お食事中の方は読んじゃダメ★  稜而はベッドの上に座って、引き当てた雑誌を両手で握り締めたまま、微動だにしなかった。 「ねぇ、見ようよ」  腕を揺すぶられて、倫の顔に焦点を合わせる。 「う、うん。見よう」  ベッドの上に置いてページをめくると、『パンチラ盗撮100連発』と大きな見出しがあり、隙間なく写真が並んでいた。  テーブルの下、電車内、階段、エスカレーター、いずれも低い位置から女性のスカートの内側を撮影したもので、下着のみならず、黒々としたアンダーヘアが透けている様子まで写っていたし、Tバックショーツがくい込んでいる尻も写っていた。 「これ、犯罪なんじゃない?」 稜而の疑問に、倫はさらさらと答える。 「こうやって正規のルートで販売されているものは全部演出だよ。女優さんが用意された下着を身につけて写ってるんだ」 「あ、そうなんだ」 稜而は素直に信じて、ページをめくる。下着姿の盗撮の次は、『ラブホ素人カップル』と書いてあり、画質は悪いが男女の裸体が写っているのは判別できた。一緒にシャワーを浴びている姿や、キスしている姿、ベッドの上で仰向けに寝て脚を開く女性の膝の間に、膝立ちで腰を進める男性。  遠くからの盗撮は、次第に大胆になっていき、四つん這いになって顔を歪める女性の姿が大写しになったり、男の陽根が女の陰部へ吸い込まれている様子も見て取れた。 「こうやって挿入するんだね」  さらにはベッドの上で仰向けに寝る男がカメラを構えているらしい。男の下腹部と、そそり立つものを口いっぱいに頬張っている女性の顔。フラッシュの反射で光る肌がかえって生々しさを裏付けしていた。 「うわー。フェラってこんな感じなんだね」 「ふぇら、とは?」 「こうやって、おちんちんを口に含んで刺激すること」 「口で? 小便するところなのに。汚くないの?」 壁に背中をくっつけた稜而は眉根を寄せて嫌悪を示した。  デリへル盗撮も、デリへルが何かを倫に教えてもらいつつページを繰ったが、基本的に内容は同じで、ただ女性の陰部から白濁した液体かどろりと流れ出ていて、稜而は深呼吸をした。  雑誌もページが尽きてきた頃、トイレ盗撮と書かれたページがあった。 「トイレ?」  怪訝そうな稜而の前で、倫はベージを開く。  男子トイレの小便器に縋って立つ女性と、背後から挿入する男性の狂乱の姿に、稜而は前髪を吹き上げた。 「なんでトイレでするんだよ。こんなところ、べたべた触りたくなくない?」 「こういうシチュエーションに興奮する人もいるんじゃない?」  倫は苦笑しながらページを繰った。  今度は床に置いたカメラで撮影したらしい。  和式の便器に跨る女性の陰部が写っていて、排尿している瞬間や、排泄の瞬間、便器に溜まっている排泄物が写っていた。  稜而は反射的に込み上げてくるものを感じ、口を押さえ、バスルームに駆け込んだ。 「無、無理。どこがエロなのかわかんない。うえっ、うええっ!」 倫に背中をさすってもらい、稜而は口の中の酸っぱい液体を吐き捨て呻いた。 「セックスってなんなんだよ!?」

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