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第23話(R18)
そんな陣内の気持ちを汲むかのように、逢坂はまた言葉を落としてきた。
「そんなに我慢しなくても、強請れば良いじゃないか? 聞いてあげるよ?」
言う事を聞くと言っても、陣内にも気持ちが良くなる権利はあるのだと逢坂は告げる。
いっその事、逢坂の勧めるように本当に強請ってしまったらどうだろう?
そんな自分を誤魔化しながら、生きていく。多分、いつかは忘れられる日が来る。
だが、それをなかった事にはできない。思い出して、深い後悔に突き落とされる事も可能性としてはありえた。
「俺の事なんかより……早く、やる事をしたらどうですか?」
「ん?」
少し、途切れてしまったが、陣内は口を動かした。
逢坂の言う事を聞くと無言ながら承諾してしまった手前、それが嫌だと言って、それをやめさせる事は陣内にはできない。
ただ、逢坂がやめると言えば、それは速やかに終わりを迎える。
「人間には興味はないと言っていた君も誰かをそんな風に煽るんだね。でも……」
「ああっ!」
陣内の煽りを受け、囁くように呟いた逢坂がとった行動。
それは先程と同じような乳首への愛撫だ。先程とは違うのは、指先でいたぶるように抓り、ジリジリと擦り合わせていくものになっていた。
「うっ」
擦り合わせ、指先から乳首が離れると、また、それを逢坂は繰り返す。
陣内は何でもないように装っていたが、次第に他の場所も何らかの愛撫が欲しくてたまらなくなっていく。
それから、陣内の無骨な指は自然と下肢へと降りていった。
「ダメだ」
「え……?」
陣内は寝そべっていて、分からないが、おそらく、あとペニスまで数ミリのところだった筈だ。鋭さのある、冷たい声が脳内で響いたかと思うと、陣内の手はその声の主の男の手によって引き剥がされる。
陣内の亀頭からはもう体液が滲みそうになっていて、ほんの2、3回、ペニスを扱いたら、達せそうだった。
「そんなっ……」
「そんな……じゃない。もう、こんなに海綿体を充血させてる」
「あっ……!」
荒い声の反面、その逢坂の指は優しく陰茎に触れる。
触れる。それだけで、擦る事もそれ以上、力を入れて、握る事もしない。
「う……ぅ……」
「俺がいるんだから、頼めば良いだろう?」
逢坂という男はなんて、残酷な男だろうか。
頼めないから、自分でしようとしたのに。でも、もう強情を張り続けるのもどうだろう、と陣内は思った。すっきり……とはいかないが、精液を出すぐらいで終わるのなら、陣内はその方が良かった。
「お願い……します……。俺の……擦ってください」
陣内は逢坂の顔を見る事なく、頼んだ。もう目蓋が重かった。それに、昨日の、今日でショックが大きすぎた。
暫くし、股間の辺りにあった緊張が解け、陣内はすっと眠りについた。
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