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第29話(R18)
時間は少し戻って、このマンションから学校へ行った最初の日……陣内は逢坂との待ち合わせの前に寝巻きや着替えを取りにアパートへ戻った。
寝巻きと言っても、下着に毛が生えたようなものだが、逢坂の言う通りにこのマンションへ持ってきた。だが、寝巻きは脱がされる。
多分、逢坂の気分的なものなのだろう。
優しく、時には荒々しく剥がれて、陣内は尻を逢坂に向けて突き出す。
「良い子だね」
多分、逢坂はおかしくてたまらないのだろう。
逢坂にいつも感じる理知的で、穏やかな視線は背徳的な、あだっぽいもののような気がした。
「あ……んっ……」
冷たい軟膏剤を纏わせた逢坂の指が陣内のアヌスの入口へ触れる。今が湿気でじめつく時期だという事もあり、その冷たさに不快感はない。
それよりも……
「君は本当にいやらしいよね……」
逢坂の指は陣内のアヌスの入り口に生える薄い毛も執拗に撫でた。
「実にいやらしい生え方をしている……」
2回目に逢坂の指によって薬を塗られた時。その毛の生え方を指摘された。
「そんな……! 生やそうと思って、生やした訳じゃ……あぁ!!」
「ははは、触れただけだよ?」
感じるには早い、と乾いた笑いをした逢坂に陣内は抗えなかった。勿論、陣内には逢坂に抗いたくても、抗えない理由はある。
ただ……
「う……」
アヌスの襞を掻き分けるように逢坂の指は進入してくる。それは優しい、緩慢とした動きだ。
「痛い?」
気遣うような声が後ろで響く。逢坂の言うような痛みは思ったよりはなかった。
多分、逢坂が慎重に指を推し進めてくれているからだろう。
だが、全く、痛みを感じない訳という訳でもなかった。
「少し……それ、よりも……」
その圧迫されるような遺物感だけはどうにもならない。もしかしたら、腸や胃を突き破って、逢坂の指が出てくるのではないか。
陣内にはそんな感覚がたまらなかった。
「もう……入らな……」
それは弱々しい言葉だった。
しかし、陣内は知っている。その言葉が別のものに変わる事を。
「ああっ!」
最初に薬を塗ってもらった日の翌日。前夜の時のように、逢坂の指は優しく、薬を塗り、馴染ませてくれた。
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