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第30話(R18)
「先生……?」
いつまで経っても、逢坂の指は陣内の腸内から出て行こうとしない。
その代わりに、口が動く。
「君は……どんな反応をするだろう?」
逢坂に臀部を向け、振り返った時に見た逢坂の、あの顔は忘れられない。
一見、人好きそうな、無邪気な笑顔をしている。
その一方で、目には鋭いものがあった。まるで、嗜虐に心を躍らせてやまない暴漢のようだった。
それから、逢坂は腸内を執拗に探られた後、何かを確かめられるような指つきになった。
前立腺だった。
勿論、陣内自身は触った事もない。触られた事もなかった。
「あうっ」
陣内はおかしな声を出し、ペタリとベッドへ沈んでしまわないように、震える足に力を入れ続けるしかなかった。
だらりとしていたペニスに精液がこみ上げてくるような感覚。
心臓も知らない間にどくどくといっていた。声を押し殺そうとして、鼻息が荒くなるのも分かった。
恥ずかしい。恥ずかしい。恥ずかしくて、もう何もしないで欲しかった。
そんな気持ちが溢れてくる中、陣内は自分ではどうする事もできなかった。
「最初、だからね。擦ってあげる」
「んふ……。ふっ……」
背を向けていたため、逢坂がどんな顔をしているかは分からなかったが、その声はいつも向けられるものよりも上擦って聞こえた。
そして、その彼の言葉は実行されてしまう。
「ああっ……!」
ペニスに逢坂の手が触れる。
短い声だったが、陣内は込み上げてきた精液を抑える事ができないままで、達してしまった。
「はぁ……はぁ……」
陣内はできるだけ、何でもないように息をしようとした。しかし、息をするのが苦しくて、仕方がなくて、大きく息を吸い込んでしまう。
あと、精液を出し切って、やたらと強い疲労感にも襲われていった。
「はぁ……」
陣内が乱れる吐息を繰り返す中で、逢坂は何も言葉をかけなかった。それから、陣内は逢坂の指がゆっくりと出ていくのをぼんやりと感じた。
「あぁ……」
まるで、最初から指など入っていなかったようだった。
力を入れていた身体が崩れる感覚も、その身体がベッドに倒れ込む感覚もまるで、我が身に起こっている事だとは思えなかった。
それに、眠いという訳ではないのに、目が開けていられなかった。
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