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百年
タオルに包まれたノアは再びベッドの上だ。
警戒しながら男を見上げると、男はニコニコと笑ってベッドに腰掛けてノアを見つめている。 正直、気持ち悪い。
若干、引き気味になりながら、ノアは恐る恐る聞いた。
「……あんた、誰? なんで俺を攫ったんだ?」
「ルシアンだ」
「は?」
「俺の名前だ。ルシアン。そう呼べ」
男はルシアンと名乗って、ノアに擦り寄ってきた。ノアはまたゾッとして後ずさる。
自分を見る男の目が気に入らない。怖いし気持ち悪い。
「ずっと探していた。ノア、随分小さな体になったな。だが相変わらず美しい」
「なんでっ……俺の名前……!?」
ルシアンは大きな手でノアの頭を撫でた。
「積もる話もあるが……まずは確かめたい。俺の勘に狂いはないと思うが、念の為だ」
「何の話……んっ!」
そして、ノアの頭を強く引き寄せて唇を合わせた。 驚いて一瞬硬直した後、ノアは思い切り暴れ出した。
「ううっ!!……んッ!……やだッ」
「それに、お前が欲しい。小さすぎて怖いくらいだが、もう待てない」
「なに、なに言って……うわっ!」
ルシアンはノアを包んでいたタオルをむしり取って、細い裸体をベッドに押し倒した。
「100年だ。世界中を探して……やっと見つけた。いい加減、成就させてくれ。愛している」
「……ッ!」
───100年。ルシアンのその言葉にノアは大きく目を見開いた。
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