11 / 15

[後日談]1

「よく似合っているよ。ノア」 ザカライアが嬉しそうに微笑んだ。 「ああ。懐かしい。元のお前だ」 ルシアンも満足そうに笑みを浮かべて、ノアを見つめた。 ノアは上半身は裸で赤い腰巻きを巻いていた。ザカライアの手で黄金のピアスを付けられ、ルシアンの手で腕輪をはめられた。 囚われてから六年。ノアはザカライアの建てた館でルシアンと三人で暮らしていた。 ノアの肢体はしなやかに伸びて、少女のような顔立ちから、大人の色香を纏う青年の顔へと成長していた。 ノアの成長を止める時、ザカライアの提案でノアに煉獄にいた時と同じ格好をさせたのだ。二人はノアの姿にいつも以上に興奮し、その夜は執拗にノアの体を責め苛んだ。 ノアは何度も逃げようとしたが、全くの無駄だった。 三年が過ぎた頃には、ノアは諦めたように従順になった。 口答えは相変わらずだったが、逃げようとするそぶりは見せなくなっていた。 天使と悪魔との奇妙な生活は表面上は順調だった。一人ずつと過ごす夜もあれば、三人で楽しむこともあったが、ノアが一人で眠れる夜は一度も無かった。 ノアの成長を止めてから五年。 ある日の午後、ノアはソファに座って本を読んでいるザカライアの膝の上に頭を乗せてうたた寝をしていた。 ザカライアはノアの銀色の髪を愛しげに指に絡めていた。 ルシアンはというと、しばらく魔界に帰っていた。 時々、二人は交代で天国や魔界に数日間戻り、各々の仕事をこなしていた。休戦中とはいえやる事はあるのだ。 「懐かしいな」 眠っていたと思ったノアがポツリと呟いた。 「どうしたの?」 ザカライアは本から視線をノアに移して聞いた。 「いや、思い出してたんだ。ガキの頃、ここであんたと二人で暮らしてたろ」 「ああ、幼いノアも可愛かった」 「……あの頃は良かった」 ノアは美しいオッドアイでザカライアを見つめている。ザカライアは思わず息を飲んだ。心を射抜くように鋭く、美しい眼差しだった。 「ノア……」 ザカライアはノアの唇にそっと口付ける。 すると、ノアは指をザカライアの金髪に差し込み、強く引き寄せた。 ノアは従順にはなったが、自ら求めるような真似はしない。 それが、ねだるように唇を開き舌をからませてきたのだ。ザカライアは夢中でノアの唇に吸い付き、その美しい肢体に覆いかぶさった。

ともだちにシェアしよう!