5 / 306

マッドサイエンティスト先生とあらすじ

先生の説明を聞いても俺の脳ミソが追いついていないので、これを自分自身に起こったことじゃなく、マンガかドラマの話だと思おう。 ◆前回までのあらすじ◆ 平凡顔の雰囲気イケメンこと山田太郎(28歳)独身、社畜リーマンは フランケンシュタイナーから男の生き様に感動した夜に、OLと中学生と女子大生(可愛い)を魔の手から救い、酔っ払い運転の車に跳ねられ瀕死に。 山田の体は事故でズタボロ、だが脳ミソだけは綺麗なまんまだった。 偶然にも、脳死状態の美少年のキレイな体があるではないか! なんと! 山田の脳ミソ、美少年の頭にいれちゃいました☆ 次回、山田美少年になる!? お楽しみに~……って、待て! そんなこと可能なのか!? いやっ、倫理的にいいのか!? まだあまり声を出したり、動いたりできないので、静かに大パニックを起こしている俺。 この体の主は有栖川千尋という名前で、超がつくほどの大富豪の一人息子らしい。 母親と一緒に事故にあって、母親は即死だったが、息子は助かった。 ただし、植物状態で。 三年間、意識の無いまま機械に繋がれて生き続けたらしい。 だが、いよいよ脳全体の機能が失われていき、脳死状態になり、どんなに手を尽くしても生かすことができないというところで俺が運ばれてきた。 このマッドサイエンティスト先生は、俺の脳ミソを美少年の死んだ脳ミソと入れ替えるというホラーマンガみたいな手術をやってのけたらしい。 「検査して適合しただけじゃない。君は自分の身の危険も顧みず三人の人を救った。そんな君なら新しい人生を受け入れて、まっすぐに生きてくれると思ったんだ」 やめて! キラキラした目でこっち見んな! まてまて、あんた俺の何を知っているってゆうんだ! てゆうか、こんなこと許されるの!? 「……おれの、おやは……?」 「ご両親は移植を許可してくださったよ。ただし、心臓の」 「……え……?」 「息子さんの心臓で助かる少年がいるんです、とお話したら『ぜひ使ってやってください。その方が太郎も喜びます』とおっしゃられて。素晴らしいご両親だね」 なに涙ぐんでんの!? 泣きたいのは俺の方なんですけど? 「カモフラージュとして、心臓の手術をしたように見える縫合痕を付けさせてもらったよ。傷をつけてごめんね」 いや、謝るとこ、そこじゃねーって! 「君のお葬式も終わって、遺骨はご両親が田舎に連れて帰られたよ。焦らないでいいから、ゆっくり受け入れてほしい。君は一度は死んで、生き返ったのだと」 そんなの……でも、こいつの父親は? 「こ……の、ちちおや……は?」 知ってるのか? 「この手術は有栖川様のご希望だったんだ」

ともだちにシェアしよう!