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フランケンシュタインとリハビリ
とりあえず動けるようにならねばっ!!
まだ俺はどこか他人事のような、夢のような感覚でいた。
リハビリをして回復したら、元通りの山田太郎で……
移植手術なんてされてなくて、事故の後遺症の幻聴やら幻覚なんじゃないかって。
けれど何度確認してみても、頭と胸には大きな縫合痕。
山田太郎と有栖川千尋を合体させた体はフランケンシュタイン博士の怪物みたいで笑える。全然リアリティが感じられない。
有栖川千尋の父親にも会っていないし。マッドサイエンティスト先生が「ある程度回復するまでは」と俺と会うのを止めているらしいが。
ちなみにマッドサイエンティスト先生は、名を北条先生という。馬鹿でかい病院の院長先生でめちゃくちゃ名医らしい。
あれから一カ月。
俺は驚異の回復力を見せ、どうにか歩いたり、話したり、日常行動を送れるまでに回復した。
自分の足でトイレに行き、鏡を見ても……
───有栖川千尋のままだった。
180を超えていた身長も160そこそこか? 鏡に映るのは華奢で色白で、少女のような少年だった。
そんなある日、ついに有栖川千尋の父親という男に会うことになった。
病室に入ってきたのは長身で渋い男前。 さすが美少年の父親、美中年って言葉が似合いそ~とか思ってると……
「……ち、ち、千尋ちゃんッッ!! パパだよぉ───!!ちーちゃん!いっ生きてるぅう!!!」
えっ、こんなキャラなの?
すっげぇ号泣してる有栖川父に抱きしめられた。
ちーちゃん、ちーちゃん、と泣きながら抱きしめられ、「ああ、夢でも幻覚でもないのか」と思い知らされた。
現状を……有栖川千尋として生きるということを、受け入れるしかないのだと。
山田太郎は一度死んだ。
これはお茶目な神さまがイタズラにくれたチャンスで、第二の人生をやってやろうじゃないか、と俺は腹をくくった。
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