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千尋と男子校[side 高槻]

[side 高槻] 学生寮で一人部屋を悠遊満喫していたのに、遅れて入学してくる一年生と同室になることになった。 相手の父親がどうしてもと頼み込んできたらしいが。 どれだけ過保護なんだ。 話を聞くと、事故に合って三年間意識不明だったらしい。 ……なるほど。それだと心配しすぎるのも理解できる。 だが、病院にいて中学校にも行けなかったわけだろう。 どのくらい世間知らずの後輩が来るか、少し気が重かった。 「ご迷惑おかけしますが、よろしくお願いします」 ところが初めて会ったとき、有栖川千尋は礼儀正しく挨拶をして、深々と頭を下げた。 俺は拍子抜けした。 他の生徒に比べても、全然しっかりしてる。それに…… マジマジと千尋を見る。 背は170くらいか。俺より頭ひとつ分くらい低い。 艶やかな長めの黒髪。黒目がちなアーモンドの形の瞳。すっと伸びた鼻筋。 少し色のついた、ふっくらした唇。 華奢だが貧相という感じじゃない。 すんなり伸びた均整の取れた手足。 うちの学園にいる少女のような美形って感じじゃなく、少年と青年の間の中性的な美形だ。 これだけ美形だと、さぞやちやほやされ慣れているだろうと思ったが。 鼻の頭に埃をつけて、一生懸命に荷解きをしていたり、財布を忘れたとすっとんきょうな声を上げたり、晩飯をおごると言うと頭を下げたり…… ───ギャップやばいな。 有栖川は気取らず、二カッと笑う。 そうすると、整った顔が親しみやすい可愛らしい顔になる。 これは、よからぬことを考える奴が出てきてもおかしくはない。 この学園にいる限り、俺が守ってやろう。 夢中で親子丼を頬張る有栖川を見ながら、俺は心に誓った。

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