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千尋とモーニング1

そんなこんなで、めでたく足首のGPSは外してもらえた。 そもそも、これがきっかけでこの望応学園に入ることになったのだけれども。 有栖川父は仕事でしばらく海外に住むことになった。最初は俺も連れていくつもりだったみたいだけど。 俺は日本から離れるのは嫌だったし、海外に二人でなんて、また間違いが起こっちゃマズイだろ。 そんなことになったら、このおっさん後悔で自殺しかねないし……。 ってことで、お金持ちの全寮制男子校に放り込まれた。 俺としては女子高生と仲良くなれる共学が良かったのになぁ。 ぶっちゃけ、俺はギャル系が好きだ。大好きだ! 小林には女の趣味悪すぎって、いつも言われてたけど。 ……まぁ、しょっちゅう浮気されたけどね。 有栖川父に断固反対されて、泣く泣く男子校入りだ。 一応、有栖川父にもメールで報告しといたら電話がかかってきた。 深夜2時に。 スカイプ繋げってしつこく言われて、しぶしぶパソコンを立ち上げる。 千尋の顔が見たいってよ。 ウェブカメラでお互いの顔を確認した。俺は見たかないけどね! 『千尋ちゃん! 良かった! 顔見れて』 「はぁ、どうも」 『同室の子はどう? 大丈夫?』 「いい先輩だよ。……もう、切っていいか?」 『何言ってるの!? まだ話は終わってないよ』 結局、有栖川父の尋問は二時間続いた。 翌朝、俺は超寝不足状態で部屋を出た。高槻先輩に開口一番に心配された。 「おい、大丈夫か?」 「ちょっと父からの電話で、寝不足で。昨夜、うるさくなかったですか?」 「いや。俺は一度寝ると熟睡してしまうからな。親父さん、すごい心配症なんだな。」 まぁ分からんでもないけど……と、しみじみ言われた。 俺は顔を洗って、制服に着替えた。山田太郎の時は高校時代、学ランだったけど望応はブレザーだ。 黒に近い濃紺のブレザーにグリーンのネクタイ。 一年はグリーン、二年はワインレッド、三年はネイビーとネクタイで色分けされてる。 会社員だったのでネクタイを結ぶのはお手の物。悲しいかな、彼女にネクタイ結んでもらった経験が無いんだなぁ。 今朝は学校の方の食堂も案内してやる、と朝食は高槻先輩と校内の学食で食べることになった。 つーか、寮と学校と両方でモーニングやってんのかよ。コンビニもあるみたいだし、至れり尽くせりだな。

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